現象の奥へ

パナマ文書

【パナマ文書】  世間をにぎわしている、いわゆる「パナマ文書」は、南ドイツ新聞が最初に報道した。  税金の低い地域に会社などを設立してそこに多くの金を送り、本国での課税を逃れようとする「手段」は、これまでも多くの著名人が利用してきて、それじたいを法律でじかに問うことは難しいようだが、それが政治家の場合は、倫理感を問われ、スキャンダルになる。いま、いちばん「有名」なのが、イギリスのキャメロン首相で、親が「租税回避地」に会社を作って投資し、キャメロン自身も、利益を得てきて、その釈明に追われる日々である。  そのもとのデータである、「パナマ文書」とは、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した膨大な内分文書で、この事務所は、現地での法人設立を請け負っていた。  今回、なにが半端でないといって、そのデータ量である。  「電子メールや契約書、パスポートの写しなど、分量にして2.6テラバイト、ファイル数で、1150万件。77年から昨年12月まで40年近くにわたる情報が、含まれており、政治家や経済人、有名スポーツ選手など世界のトップクラスの富豪の個人情報や取引状況がつぶさに記録されている」(『Newsweek』日本版、2016.4.19号) 「国家ぐるみの関与も発覚している。北朝鮮は英領バージン諸島にペーパーカンパニーを設立し、国際的な経済制裁の網をかいくぐって核開発費を調達していたとみられる」(同上) 「匿名の情報源から寄せられたモサック・フォンセカの内部文書を南ドイツ新聞が入手したのは1年前のことだ。一社では手に負えないと判断した同社は、76カ国、107の報道機関と提携し、370人以上のジャーナリストを擁する国際調査報道ジャーナリスト連盟(ICIJ)と情報を共有して解析作業を進めてきた」(同上) 「今回の暴露によって、租税回避地への資産移転がただでさえ大きい格差をさらに拡大する装置として機能していたことが明らかになった」(同上)  全データを解析にするには、まだまだ時間がかかるようだが、「われわれ」になじみのある名前としては、スタンリー・キューブリック(『2001年パナマへの旅』とか(笑))、ジャッキー・チェンプーチン習近平などがあがっている。  ただ、冷泉彰彦氏のブログなどを見ると、アメリカではそう騒がれていないそうで、その理由としては、租税回避を是とする思想が一般的になっているようである。  しかし、これから出てくるデータによってはどうかな? である。これは地震と同じで、「自分のことろはまだ大丈夫」という意味のない安心から来ているのかもしれない。  この「事件」で思い出すのは、アメリカ大リーグ、マーリンズのイチロー選手である。彼について、昔読んだことがあるのだが、イチローは、恩返しのための自分の国への愛のために、税金は日本で納めているそうだ。これが確かで、まだ続いているとしたら、やはり超一流の選手は、基本的な考え方もりっぱである、ということである。  で、パナマ文書に戻れば、リークした人は誰だろう? である。やはり内部の人間か、あるいは、ハッカーか。いずれにしろ、最初の南ドイツ新聞への接触は、その新聞社の記者とのやりとりであるが、リーク者の安全を守るために、使用した電子機器(電話やラップトップのハードドライブ)は、破壊したそうである(web版「Newsweek」「パナマ文書はどうやって世に出たのか」小林恭子(在英ジャーナリスト)。  この情報量は、10年の「ウィキリークス」がアメリカの外交公電を公開した事件や、CIA元職員の、エドワード・スノーデンが米国家安全保障局(NSA)のスパイ行為を暴露した事件をはるかにしのぐとされる。  すごいミステリーである。しかも、上記二事件とちがって、世界の貧富の格差にも関係するとあれば、今後も目が離せない事件である。

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