現象の奥へ

【昔のレビューをもう一度】『魂萌え! 』──秋吉久美子に負けた(笑)!(★★★)

魂萌え! 』(阪本順治監督、2006年)
2007年2月8日 23時16分

 なんせ、『顔』の阪本順治監督ですからね、フツーのオバサンのハナシは作らないと思いましたよ。しかし、いかんせん、フツーのオバサンのハナシになってました(笑)。
 こういう映画は、たいてい、普段は映画を観ないようなオバサンたちが嗅ぎつけて(笑)、集まってくるんです。私が観た日も、『魂萌え!』だかなんだか、すでに「燃えつきた」ようなヲバサマがたが大量発生してました。まあ、そういうのも、「見もの」かなとは思いますが。
 だいたい、阪本順治は、本作で、なにを描こうとしたのか? 夫に先立たれ、自立していくオバサンの姿か? そんなテーマなら、大昔から存在する。
 確かに面白いシーンはいくつもある。オバサンの生態そのまんまなんだから、面白くないわけはないのだが、これが、純粋に映画的な面白さかというと疑問である。藤山直美主演の『顔』にはそれがあったのだが……。
 たぶん、原作の桐野夏生は、もっと突っ込んで、中年女のヒロイズムを描きたかったと思うんだけど、それが弱くて、「自立するオバサン」で終わってしまったのは惜しい気がする。
 まあ、見所は、かつてのスターたちが、出ていることでしょうか。オジーチャンになった林隆三も含めて。主人公の風吹ジュンの高校の同級生、仲良し4人組の、ほかの3人に、藤田弓子(45年生まれ)、由岐さおり(?→Wikipediaに載ってない。)、今陽子(51年生まれ)で、だいたい、年齢順に、並べたんだけど、その中で、風吹ジュンは、52年生まれと、一番若い。すでに60過ぎの藤田弓子「同級生」ではかわいそうな気がするけど、これは、風吹を、際だたせるための配役だったかもしれない。
 それで、突然現れる、夫の愛人役が三田佳子ですか。どーでもいいんですけど、なんか、秋吉久美子(52才)が、26才の男と結婚していた……ってニュースに、完全に負けてしまって、さらに映画的衝撃度は低下してしまったみたい。

 「あのヒトは今?」を知りたい向きに。

 

魂萌え!

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魂萌え!〔上〕 (新潮文庫)

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魂萌え!〔下〕 (新潮文庫)

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