現象の奥へ

【訳詞】「荒地」@2021

【訳詞】The West Land(1922)
 
1. The burial of the dead
 
April is the cruellest month, breeding
Lilacs out of the dead land, mixing
Memory and desire, stirring
Dull roots with spring rain.
 
******
 
「荒地」@2021
 
1. 死者の埋葬
 
四月は最も残酷な月、生まれさせるんだ
死んだ地面からライラックを、混ぜ合わせて
記憶と欲望を、かき回すんだ
しなびた根っこたちを春の雨でね。



f:id:palaceatene:20210329032451j:plain




松井久子著『疼くひと』の言論統制

70歳の性愛を「リアルに」、「女性週刊誌」の手記レベルの文章で書いた、小説『疼くひと』のレビューが、Amazonから姿かたちもなく消えていた。
伊藤比呂美の本もそうであったが、それよりもはるかに質も悪く、なんの抗議もなく消えていた。
いまは、20個ほどの褒めちぎったレビューが載っているが、私が書いたのは、2番目で、12人ほどの「役にたった」の票が入っていた。それが今見たら、跡形もなく消え、★ひとつはゼロになっていた。誰が(著者自身か、著者に版元を紹介した、ろくな主著がないと書かれた上野千鶴子センセイか、版元の中央公論新社か)Amazonに文句をいったかは知らないが、著者の本意ではないにしても、自民党日本国憲法改憲案に反対する映画を撮った監督にしては、恥ずべきことである。

けふの引用@2021.3.26

【けふの引用】
...on ne peut absolument dire que 《la jeunesse de Marx appartient au marxisme》, ...
(《SUR LE JEUNE MARX》, "Pour Marx" Louis Althusser)
……「マルクスの青春時代がマルキシズムに属していた」とは、絶対に言えない……
(「若きマルクスについて」『マルクスのために』ルイ・アルチュセール


f:id:palaceatene:20210326032050j:plain






友だちのジーサンが「全然面白くなかった〜」というDVDを送ってきたけど……

友だちのジーサンが「全然面白くなくて腹たった〜。500円と時間が損した〜」というDVDを送ってきたけど……

どーなの?(笑)

ワタシ的には、ブノワ・マジメルさまが出てるし、それなり鑑賞に堪えるような気がするけど……。

 

f:id:palaceatene:20210325001521j:plain

 

【詩】「'Foutons le camp d'ici'(ここからズラかろうぜ)」

「'Foutons le camp d'ici'(ここからズラかろうぜ)」
 
さかさまに墜ちていくのはどの爺
みを捨ててこころばかりが突つ走り
ゆめとこそ友の死いたんだ貫之は
えぞ知らぬ今心みよ命あらば同性婚
るーるるるーるーるるるー
べつけんで逮捕されたるあの男
けぶりたちひとの燃えゆく空あふぎ
つれもなくなりゆく人の言の葉だけが舞つている
とどむべき物とはなしにはかなくもジョイスの墓に詣でけるかな。


 
 
 
 

 

【訳詞】「爺ツバメ」サミュエル・ベケット

GNOME Samuel Beckett(1934年)(ゲーテの詩からインスパイア)

 

Spend the years of learning squandering

Courage for the years of wandering

Through a world politely turning

From the loutishness of learning.

 

(拙訳)

 

「爺ツバメ」 サミュエル・ベケット

 

さまよいを学ぶに数年

放浪に数年の辛抱

世間をお行儀よく通り抜け帰還

学習の粗雑さから 

 

*****

 

ベケットのテーマのひとつは、「爺」である。

その「なにもなさ」。なにもないことへ至る道。その惨めさ。惨めさへ至る訓練。彼はなぜ、ゲーテに惹かれるのか?