現象の奥へ

Entries from 2023-05-01 to 1 month

【天沢退二郎、没後すぐの著作『「道道」までの道道』(2023年5月20日、阿吽塾刊)】

【天沢退二郎、没後すぐの著作『「道道」までの道道』(2023年5月20日、阿吽塾刊)】本書の出版を、生前の著者は「希望し、かつ満足していたのだろうか?」この、小学時代から十八歳ぐらいまでの「作品」を没後すぐに出版し、これがこの詩人の代表作、あるい…

【詩】『源氏物語─The sonnets』6

『源氏物語─The sonnets』6 6「末摘花、あるいは、マックス・コメレル」 コメレルの『源氏物語』と題する評論。 「彼女の描いた生は、どこにも切れ目のない、 至上のこまやかさにまで達している 一つの儀礼である。 魂の力によって この儀礼にたしかな保証を…

【詩】「ピカソの『腕を組んで座るサルタンバンク』を模写して」

「ピカソの『腕を組んで座るサルタンバンク』を模写して」「ヴァン・ゴッホ(60色)」という名の色鉛筆で、ピカソの「腕を組んで座るサルタンバンク」という絵を模写しようとして、サルタンバンク(旅芸人)の赤い衣装の赤のために、色を選ぼうとして、まず…

【詩】「限海」

「限海」 細田傳造に捧ぐ傳ちゃんが二人で、やっと倍傳なんつって(笑)。傳ちゃんごめんね。私あの人のことあんまり知らんかったのよ。すぐアタマに浮かんだのがあの詩集だった。昔は感心したものだった。あんな詩書けへんわと思って。しかし何十年も過ぎて…

【詩】「Ti con zero(ティコンゼロ)」

「Ti con zero(ティコンゼロ)」 La molle Luna Secondo i calcoli H. Gerstenkorn, sviluppati da H.Alfven, i continenti terrestri non sarebbero che frammenti della Luna 柔らかい月 エッチ・ジェルステンコルンが推論し、えっち・アルフヴェンが敷衍…

『源氏物語─The sonnets』5

『源氏物語─The sonnets』5 5「若紫、あるいは、雑草という草はない」 武蔵野に色やかよへる藤の花若紫に染めて見ゆらむ ことばたらずの愛を愛を とあいみょんが歌う、 これがドリカム吉田美和とかユーミンでは 時代遅れもはなはだしい NHK朝ドラも世につれ …

【詩】「どうする山下?」

「どうする山下?」父方は遠江浜松、母方は長篠ことしは、そういう年だ。遠州の森に来てみれば茶工場あり。あたりは揉み砕かれる茶葉の匂いに満ちている。伯父と父がなにやら茶葉を噛みながら、うなずき合っている。むきだしの梁から下がった木のブランコを…

『源氏物語─The sonnets』い

『源氏物語─The sonnets』い い「手枕、あるいは、宣長の恋」 源氏の兄の東宮が突然死に、その嫁たる六条御息所 そこへなぐさめにいってくれと、帝から頼まれる 当然二人は恋仲となり、 六条御息所は恥ずかしいと思いながら、 源氏に執着する 源氏の愛人とな…

『源氏物語─The sonnets』4

『源氏物語─The sonnets』4 4「夕顔、あるいは、記憶よ語れ」 身分の低い階級にもいいおんなはいるんだ、 ということを、源氏は頭中将に知らされて そんな女との出会いを果たす。 それは中将の愛人であった。 寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見…

平出隆『雷滴 その放下』(via wwalnuts)

平出隆『雷滴 その放下』(via wwalnuts)封書の形の詩集(?)であり、封書で届けてもらうか、普通の本のように、切手も消印もなく、無垢の封筒に入れて届けてもらうか、選ぶことができる。私は最後の一冊と書かれたものを、Amazonで見つけた。発行をもとを…

【詩】「雨の日」

「雨の日」suddenly in the midst of a game of loto with his sistersArmstrong let a roar out of him that he had the raw meatred wet flesh for Louis 突然ロトの最中に姉妹たちとやってきてアームストロングは大声をあげる生のフレッシュな赤身の肉を…

『源氏物語─The sonnets』2

『源氏物語─The sonnets』22 「帚木、あるいは、排蘆小舟」あしわけをぶねは、三十四歳の宣長の生涯未発表の処女作なり、そして歌論なり。歌の本体、政治をたすくるためにもあらず。身をおさむる為にもあらず。たゞ心に思ふことをいふより外なし。はゝきの心…

『源氏物語──The sonnets』1

『源氏物語─The sonnets』11「桐壺、あるいは、物の哀れ」なぜ、ひとは物語を必要とし、なぜ、ひとはこころをもつのか、それは、ベルクソンも柳田国男も答えてはいない。ただ示唆するのみ。そして本居宣長は、それに名前をつける。すなわち、物の哀れである…

【詩】「あるいは、しなびたオレンジ」

「あるいは、しなびたオレンジ」ミシェル・ピコリが朗読するボードレール『悪の華』を、午前三時頃?ふとんのなかでiPhoneからイアフォンで聴きながら、眠ってしまった。目が覚めた時は翌七時四十分だった。大急ぎで起きて朝食の準備だが……そのあいだ、その…

HP更新。きてね。

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山下晴代第17詩集『Drunken Boat』発売のご案内

出ました!山下晴代第17詩集『Drunken Boat』。(1500円)紙で読まなければ、見えない世界がある。寄贈→ゼロ。いくら待っても来ない(笑)。自腹を切らなければ見えない世界がある。Drunken Boat とは「酔いどれ船」。ランボーの詩をベケットが訳した英語題…