現象の奥へ

Entries from 2023-06-01 to 1 month

『観光客の哲学 増補版』(2023年6月15日、ゲンロン刊)東浩紀著

『観光客の哲学 増補版』(2023年6月15日、ゲンロン刊)東浩紀著 著者のデビュー作『存在論的、郵便的』を期待を持って読んだが、結局、新しいエクリチュールが展開されているわけではなく、「学術論文的」であった。著者がどんなに「ゆるく」「テキトー」に…

【詩】「源氏物語─The sonnets」9

「源氏物語─The sonnets」9 9「葵(あふひ)、あるいはプリゴジン」 そのむかし、涙じゃないのよ浮気な雨にちょっぴりこの頬濡らしただけよ、 と緑川アコ、あるいは竹越ひろ子なる歌手が歌った、「カスバの女」なる流行歌あり。 そのカスバこそ、プリゴジン…

【詩】「源氏物語─The sonnets」8

「源氏物語─The sonnets」8 8「花宴(はなのえん)、あるいは、扇を交換する」 おほかたに花のすがたを見ましかば露も心のおかれましやは いかにこころは形成されるのか? それはひとの肉体とは平行しておらず、 それをベルグソンは長いこと研究した。 そん…

【詩】「葡萄酒色の海」

「葡萄酒色の海」名前はオデュッセウスだったかどうか、忘れた。しかし女神たちよ歌ってくれこの葡萄酒色の海で。これから世界一の美女、ヘレナを奪回するために、われらはトロイアという国に向かうヘレナファン同盟。もちろん妻子ある男もいる。その名が、…

【詩】「エリオットのゲロンチョン」

「エリオットのゲロンチョン」エリオットに「ゲロンチョン」という詩作品がある。ずいぶんおもしろい響きの作品だが、れっきとしたドイツ語だったかな〜の単語で、老人の意味だったと思う。と思う、いうのは私も老人でいろいろなことを忘れているからだ。サ…

【詩】「Voyage au bout de la nuit(夜の果てへの旅)」

「Voyage au bout de la nuit(夜の果てへの旅)」Ça débuté comme ça.それはこんなふうに始まった。夜はいつから始まったのか、皆目見当がつかなかった。ただ夜のなかを漂うように歩いていた。はじめ、それは郷愁を誘う音楽のようであり、上から見下ろす、…

【詩】「源氏物語─The sonnets」7

『源氏物語─The sonnets』7 7「紅葉賀(もみぢのが)、あるいは、デニーロとパチーノはパパ友、だからなに?」 金があって有名なら若くてきれいな女はいくらもつく こどもぐらいなんぼでもつくれるけど日本はなぜか少子化対策 いっそのことインドなどの人口…

【詩】「Finnegans Wake(フィネガンのお通夜)」

「Finnegans Wake(フィネガンのお通夜)」riverrun, past Eve and Adam's from swerve of shore to bend of bay, brings us by a commodius vicus of recirculation back to Howth Castle and Environ.川走る、故イヴとアダムさま、海岸逸れてより湾曲がり…