現象の奥へ

「夢」

「夢」たいていの人は、自分の見た夢を、言葉で表現する。それも、自分が受けた教育の範囲でつかんだ整合性の枠に通じる言葉で。夢は言葉なのか?夢はイメージなのか?夢は記憶なのか?前頭葉の発露なのか?ひとは夢をストーリーに置き換える。その置き換え…

「漱石、漱石と出会う」

「漱石、漱石と出会う」漢詩の詩形は古詩と近体詩。古詩は一句の中の韻律の形、平声(ひょうしょう)の字と仄声(そくしょう)の字配置が自由、長さも自由。近体詩は、平仄の配置に定型があり従うのが礼儀。長さも、八行は律詩、四行は絶句。文科二年の漱石…

「ピーター・ブルック」

「ピーター・ブルック」私の人生に影響を与えた一人に、高校生の時出会い、芝居には衣装も装置も道具もなくていいんだと知った。その後、高校生の演劇コンクールで、舞台の上に俳優が椅子と衣装の包みを持ち込み、そこで着替えるという脚本を書いた。演劇コ…

「モランディの色」

「モランディの色」Raw sienna──見た目、薄茶色。遠い草原のコオロギたちの寝場所。Warm grey deep──暖かい眠り。Greenish umber──終わっていく夏休み。Perm.blue violet──破滅をはらんだ淡い恋心。Yellow ochire──獣たちの会議。Cold grey deep──懐かしい香…

「太陽と月に背いて」

「太陽と月に背いて」見つけた! 何を! 永遠を!ディカプリオの長い脚。小林秀雄が卒論の面接で、フランス語で聞かれた。ランボーはどんな詩人か?論文の仏文はすばらしかったが、小林は会話が得意でなく、ランボー、グランポエット。を繰り返すのみ。私は…

「血まみれピーナツ」

「血まみれピーナツ」やっちまった、やっちまった、やちまたは、ピーナツのまち、ではない。もはや、やっちまった、やっちまった、やちまたは、危ない通学路のまち、やっちまった、やっちまった、小学生の通学の列に、クルマが突っ込んだ、だって、舗道もな…

「論語に捧ぐ」

「論語に捧ぐ」金持ち奥さまの婆さん詩人と、その他、二名の詩人が、そのうちの一名の詩集を海岸の砂に埋め、弔いをしたという。なんたるおごったことをと、私は思った。あくまで私のイメージだが、書物を砂に埋めることによって、弔いをするというおごった…

「アレフ、片隅で光る非存在」

「アレフ、片隅で光る非存在」 世界がまだ睡魔と戦っていた頃、 眠りに落ちる寸前に見える光景、 それこそ人間の脳にはめ込まれた原風景であり、 全宇宙の姿と言っていい。 すべての忘却を消すために、 ハムレットはロミオと入れ替わってみようと思った。 幾…

「Oh, Ulysses! 」

「Oh, Ulysses! 」James Joyce was born in Dublin on 2 February 1882. He was the oldest of ten children in a family which, After brief prosperity, collapsed into poverty.真っ二つに裂けてしまったペーパーバックの、まだ甘い朝の空気を放つ午前、M…

【詩】「ある詩を考えながら、ほかの詩を思い出すこと」

「ある詩を考えながら、ほかの詩を思い出すこと」 Où maintenant? Quand maintenant? Qui maintenant? Sans me le demander. Dire je. Sans le penser. Appeler ça des questions, des hypothèses. Aller de l'avant, appeler ça aller, appeler ça de l'ava…

【詩】「うつらうつらしながら」

「うつらうつらしながら」 La sottise, l'erreur, le péché, la lésine, Occupent nos esprist et travaillent nos corps, 馬鹿、間違い、罪、吝嗇が、 われらの頭を占め、体を動かす と、シャルル・ボードレールは書く。 ここには、なんら観念的な言葉はな…

【詩】「ロシアより愛をこめて」

「ロシアより愛をこめて」 文学とは、まず第一に、自由の香りがしなくてはならない、けれど、 ナボコフは、軽蔑さえ宝物として記憶する、そう、 記憶だけが文学だ、彼にとって。 それから、ベンヤミン。 物語作者を探して、ロシアの地をゆく、そう、あれはロ…

【詩】「ちょうどよいテロリスト」

「ちょうどよいテロリスト」 Facebookの魑魅魍魎をゆけば、 第一詩集として、『ちょうどよい猫』という題名の詩集を出した女性詩人あり。 「詩を書いてます。まだ駆け出しで」と。 しかし、それなりの人気を集めていた。 われははたと立ち止まり、「ちょうど…

【詩】「荒川洋治」

「荒川洋治」 「荒川洋治」なんて字を見ても、 もうなにも心は動かない。それがなにか文章の作者だとしても、その文章を読みたいとは思わない。 鎌倉時代の癩病施設に関して書かれた「詩のようなもの」は読んだ。 「詩のようなもの」というのは、本人が「詩…

【詩】「お気に召すまま」

「お気に召すまま」 お気に召すまま、泣かせてね。 ぬあんて歌ってた日々がなつかしい。 ひとりの名前はじゅん、もうひとりはねね。 ボードレールもマラルメも、さいはてたひも 知らない。ごめんねごめんね、ひまわりさん。 いまは戦車で踏み潰されて、 マル…

【詩】「ジェノサイド」

「ジェノサイド」 私が「ジェノサイド」ということばに深く印象づけられたのは、 ほかでもない、リドリー・スコットの『ブラック・フォーク・ダウン』という映画で、 東ソマリアの「内戦」に「干渉した」アメリカがよこしたデルタフォースの特殊部隊の将軍役…

【詩】「金枝篇」

「金枝篇」 それは文章を読まない、 ゆえに文学の歩みに汚されていない、 民たちの、物語。 まだ自然しかなく、伝説もない、 ギリシア悲劇でさえ近づけぬ森の。 祭司を殺してまた祭司になる、その祭司も殺されるまでは祭司である。 ターナーはそんな世界を描…

【詩】「シベリアと犬笛」

「シベリアと犬笛」 シベリアに行ったことはありますか? まあ、ないでせう。 私も行ったことはありませんが、中国映画で、「体験」しました。 いわゆる「放下」された人間が住む場所もシベリアでした。 酷寒の地なので、雪原を想像していたのですが、雪はあ…

【詩】「アサノ殿の47人、その1」

「アサノ殿の47人、その1」 大石内蔵助良雄。 家老。 千五百石。 戒名、忠誠院刃空浄剣居士、行年四五歳。 あの事件が起こらなかったら、名前を残すこともなく、田舎の城の家老で終わった。 しかし、この世には、復讐だけが人生だという、 たったひとつの復…

【詩】「きみの名前でぼくを呼んで」

「きみの名前でぼくを呼んで」 私は以前、この映画の題名で詩を書き、また同じ題名を使って詩を書こうとしている。 それほどこの言葉は、恋愛を表現して胸を打つ。 映画では、イタリア人の若者(男)とアメリカ人の留学生(男)が、 教授であった若者の父の…

【詩】「倭歌(やまとうた)」

「倭歌(やまとうた)」 和歌でなはく、倭歌とするは、和歌は本来、万葉集の「和(こた)へ歌」の意なり。 きみがよその男と寝ていようと、 蛙は水のなかで鳴く。 なんたるちーや、日本では、蛙さえ歌を詠むのだよ。 It is my love that keeps mine eye awak…

【詩】「ねじの回転」

「ねじの回転」 もちろん、ヘンリー・ジェームズのこの題名の小説は読んだ。 こんなタイトルの詩も書いたし、詩集も出した。 そして、いままた懲りもせずに、同じ題名の詩を書こうとしている。 甥や姪の家庭教師として雇われた女が、その別荘だったかの屋敷…

【詩】「もう恋なのか」

「もう恋なのか」 精神分析の本をたくさん読んで偉そうに語っていた某女性詩人のページに、 「でたらめ書かないで」とコメントしたらブロックされた。 「あ、そ」で、痛痒は感じなかったが、ある年年賀状が来た。 なんで?と思ったが、試しに彼女のページに…

【詩】「おお錯誤!」

「おお錯誤!」 文章読本は何人かの文豪によって書かれているが、なかでもりっぱな日本語の谷崎某の『文章読本』は、 同じ題名の本を書きながら、丸谷才一はそのなかで、 「腰をすゑて仔細に読み進むとき、人はこの名著に含まれてゐる錯誤に驚くことにならう…

【詩】「闇の物語」

「闇の物語」 They burn, these flares and my heart, and send off smoke. The smoke from my heart refuses to be dispersed.* 篝火にたちそふ恋(こひ)のけぶりこそ世にはたえせぬほのをなりけれ 闇、匂い、異国のひとの頭脳、 が、混じり合う。 時代、…

【詩】「ボルヘスがジョイスに祈る」

「ボルヘスがジョイスに祈る」 ボルヘスがジェームズ・ジョイスを神のように祈っている詩がある。 ジョイスによって救われたと。 Entre el alba y la noche está la historia universal. moocow(もーもーうし) なんて言葉を小説で使ったのは彼が世界で最初…

【詩】「Petites Madeleines(マドレーヌちゃん)」

「Petites Madeleines(マドレーヌちゃん)」 「もう何年も前のことであったが、コンブレーで、眠るとき、芝居でも物語でもなかったものは、 私にとってはすでに存在しない、 冬のある日、ママは私に、飲む習慣のなかった紅茶をすすめた」 "Du côté de chez …

【詩】「Dr.Strangelove__Or:How I Learned To Stop Worrying And Love The Bomb(ドクター・ストレンジラブ_あるいは、いかにして私は心配するのをやめ、爆弾を愛するようになったか」

「Dr.Strangelove__Or:How I Learned To Stop Worrying And Love The Bomb(ドクター・ストレンジラブ_あるいは、いかにして私は心配するのをやめ、爆弾を愛するようになったか」 キューブリックの最高傑作にして私のバイブルである。 なんど観ても笑ってし…

【詩】「J.L.B. v.s. J.L.G」

「J.L.B v.s. J.L.G」 かたや、暗闇にまぎれ、密かに舟を漕ぎいれ、まだ癩病が流行っていない村に足を踏み入れる。 かたや、遠い過去の未来都市で、古びたSFを物語る。 かたや、火のなかに愛を見、 かたや、夥しいテクストに放尿する。 それでも、ふたりは…

【詩】「恋人」

「恋人」 愛する、ジェイク・ギレンホールが、ちょっとハスキーな声で、 フィッツジェラルドの『華麗なるギャッツビー』を朗読しているオーディオブックを、毎夜聴いている。 いったいどんなハナシなのか?←(笑) わたしはわからないのである。 レオナルド…