現象の奥へ

【詩】「荒木一郎に捧げるほろ苦いブルース」

荒木一郎に捧げるほろ苦いブルース」

人気の出た歌手が事務所から独立して稼ぎを全額自分のものにしようと目論んだ時、この、文学座の古参女優荒木道子の息子の元歌手で、音楽プロデューサーは、コメントしたものだ、
「ふん、てめえひとりの力で売れたと思っていやがる」
てなことをね。
それは何十年も前のこと。そのコメントがどんな媒体(おそらく週刊誌だろうが)に載ったのかさえ定かでない。
バイバイまだ、夢のようさ、
バイバイきみ。
バイバイマイ・ラブ。
きみがすきだったシランの花は昨日の朝枯れたよ。
だったかな……
一時「婦女暴行」で逮捕? そんな記事もあった。
シンガーソングライターの才能もあったと思う
バイバイ過去
やがて来た平成もついに終わったよ。
バイバイ時代
意外にもナイーブな声の
そんな怪しげな男の
時代の記憶もとうに過ぎたよ。
来年には夏が来るのか
バイバイ時間
それは存在しないと
説く科学者もいる
バイバイ荒木一郎
セルジュ・ゲンズブールにも
ブルース・スプリングスティーンにも
もしかして
なれた歌手
ほら、これが君のすべてだ。


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