現象の奥へ

【昔のレビューをもう一度】『母なる証明』 ──韓国の手触り(★★★★)

● ポン・ジュノ監督、『パラサイト』 祝! アカデミー賞 監督賞+作品賞
● すでに国際的な仕事をしていたジュノ監督なので、アジア人とはいえ、当然の流れなのかも。本作より、『スノーピアサー』(クリス・エヴァンスがかっこいい)の方が私は好みで、高く評価するが、レビューを書いてなかった(笑)。
●本作はすでに10年前の作品で、ジュノ監督は当時40歳)

母なる証明』(ポン・ジュノ監督、2009年、原題『MOTHER』)
2009年11月16日 3時45分

ひたすら息子を溺愛する、58歳ぐらいの母親に見える、68歳のキム・ヘジャ、マザコンでちょっと気持ち悪いところもある、25歳ぐらいに見える息子役の32歳のウォンビン。私は、いわゆる「韓流」には、まったく関心がないので、ウォンビンが人気者だったことは知らなかった。

 この映画は、かなり重い内容を含んでいるが、脚本がそれほどよいわけではない。演出も、悪くはないが、抜きんでいているわけではない。観客は、意味深なストーリーに引きずられてしまいそうだが、実は、本作の魅力は、韓国の普通の暮らしの手触り感にある。果たして、監督がどこまで意識的であったかは、わからないが、はからずも、そういったリアルな手触りが露呈されている。また、主演の大女優であるという、キム・ヘジャの、年齢に似ぬ、体の動きがいい。さすがに鍛えられた俳優なのだろう。