現象の奥へ

【詩】「眠りの影のなかの」

「眠りの影のなかの」



世の中に

ベージュにまさる色はないような気がしてきた土曜日の午後

妥協して

カーキのガーゼ織りに触るのだが

やはりこころのなかは

依然ベージュを夢見ている

そんな「コロナ元年」のある日

祖父と思い込んでいた老人に

報告せねばならないだろう

そう、あれから

いくじだいかがすぎました

けれどおじいさんがつくった

さつまいもの貯蔵穴より

すばらしいせかいが

あっただろうか?

わたしにとって



*Confusa acqua

come il chiasso di poppa che odo

dentro l'ombra

del

sonno



(*ジュゼッペ・ウンガレッティ「東方」より)