現象の奥へ

【短編を読む】三島由紀夫「中世に於ける一殺人者の遺せる哲学的日記の抜粋」

【短編を読む】三島由紀夫「中世に於ける一殺人者の遺せる哲学的日記の抜粋」(1943.2、400字詰め換算23枚)


「殺人者の日記」であるが、むしろ、殺された者たちの様相をアフォリズム風に描写。日本の中世なのだが、どこか洋風の雰囲気で、殺人者と、友人の海賊の会話は、ギムナジウムにいる少年たちのやりとりを思わせる。

 観念的に凝縮した文体は、小説というより詩のようである。こういう題名をつければ、どんなものでも小説になりうる。