現象の奥へ

【詩】「ミケルアンヂェロ、あるいは、羽仁五郎」

「ミケルアンヂェロ、あるいは、羽仁五郎


羽仁五郎と言えばすぐに思い出すのがガールフレンド、花柳幻舟。旅芸人の生い立ちだったか、日本舞踊を身につけたが、家元制度が立ちはだかって、「天誅!」と叫んで刃物を向けた、名前は忘れた家元のオバサンに。ゴローちゃんと、羽仁五郎を呼んでいた。傷害か、殺人未遂で服役した。出所後、弁護士になろうと司法試験の勉強を始めようとしたが、前科があるものは弁護士になれないと知ってあきらめた。あれから、幻舟はどこへ流れていったか──。近頃ウワサはとんと聞かない。一方、ゴローちゃん、あの世で、ミケと仲良くやってます。フィレンツェはシニョリーナ広場の市庁舎のある部屋に、隠された壁があり、一方の面はダ・ヴィンチの、反対側は、ミケランジェロの、絵があり。対決。

ゴローちゃんには、『ミケルアンヂェロ』というすばらしい本(岩波新書)があり、ほんとうは、すごい人なんだけど。そういう面は一向に出さず、幻舟とつきあった。一応、妻のモトコ公認。

シニョリーナ広場にあるミケのお尻丸出しの石膏像は、レプリカ。あ、ミケのお尻じゃなくて、ダヴィデのお尻。作者がミケ。ホンモノは、古典美術館みたいな名前のところにあり。

天国でミケは会ったこともない幻舟のことを考えている。

女にしておくには惜しい女。

生まれが貧しかったから。

家元になれなかった。

ミケは大天使ガブリエルを送って、

幻舟に、「受胎告知」をした。

あなたが産むべきひとは、

ゴローちゃん。

 

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