現象の奥へ

【詩】「アンダルシア」

「アンダルシア」

この海この砂この舟この感触この風 
これは何なのか? 船底をじっと見ていた
松並木が続き 時間が海藻のようにまとわりついた
あれはいったい何なのか? わが父よ。
 
どこかの馬鹿が錆びたジジチャリで
ピレネーを越えることを想像していた。
それは富士山を自転車に越えるに等しい。
しかもマウンテンバイクでも嗤われる
ましてアンダルシアは、ただの草原に過ぎず、
時速150キロでも通過するのに何時間もかかる
 
愚かしいのは見栄に見栄を盛り続け
もはや本心はかけらもなく
事故にあって野垂れ死ぬまでは
見栄を吐き出し続ける
 
なぜエリオットは「マリーナ」という詩で、
セネカラテン語エピグラフに置いたのか
知りたいと思うのはそれだ
そして「何(what)」という問いを
発し続けたのか
 
シェークスピアの阿呆より阿呆な
日本の女衒的老人
にとびっきりうまい
反吐を
 
 

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