「Marguerite Yourcenar 『Mishima ou La vision du vide』(マルグリット・ユルスナール『ミシマあるいは空虚のヴィジョン』)」
長い長い長い馬の小便のような長い長い長い夢を見ているジジイの夢はほんとうに漠然とジジイが感じているようにフロイト的文脈を持ち得ているのだろうか──?
この惑星にはマルグリット・ユルスナールのようなババアもいて、この国際的日本人作家について小論を書こうと身構えている。そしてこんなエピグラフを用意している。
Mourez en pensée chaque matin, en vous ne craindrez plus de mourir.(Hagakure, traité japonais du XVⅢe siècle.)
毎朝死ぬことを考えなさい、そうすれば死を恐れることはなくなる。(葉隠れ、日本の一八世紀の約束事。)
この説明はあまりにも言葉が足りない。まるで18世紀の日本の法律であるかのようだ。まず、「武士の」が欠けている。そして、これは人を縛る法律ではなく、一種の「美学」である。この説明がないゆえに、ユルスナールはMishimaについて、大いなる「誤読」をするだろう。
Mishimaは、ノーベル賞を欲していたが……
と書かれている。
出そうで出ないジジイの小便のような出そうで出ないジジイの記憶の言葉はほんとうにジジイには想像もつかないだろうがソシュール的言語体系内に存在しているのだろうか──?
宇宙は今始まったばかりだというのに、「空虚」とは泣かせる。