現象の奥へ

【詩】「F.」

 

「F.」

 

聖書にも記されている疫病(感染症

いつの時代も人類を襲い、

生き延びようとしているウイルス

実際には細胞はなく、タンパク質か遺伝子でできている。

1ナノメートル(1ミリの100万分の1)。

一方、細菌は、一つの細胞からでき、1マイクロメートル(1ミリの1000分の1)。

絶滅したと言われるウイルスは天然痘だけであり、

あとは、この地球上で、変転を繰り返し、ウイルス・ウォーズを繰り広げている。

新型コロナウイルスSARS-COV-2)は、表面にエンベロープと呼ばれる殻を持ち、そこにスパイクと呼ばれるタンパク質の突起が出ていて、その形が王冠に似ていることから、スペイン語でコロナ(王冠)という名前がついた。表面のエンベロープに脂質が含まれているので、石鹸で洗うだけで、壊すことができる。

飛沫から感染するが、それが蒸発したあとも空気のなかに残ってエアゾルとなり、3時間も空中にとどまることもある。

体内に入ると血管に侵入し、血栓を作る。

PCR検査法は、鼻やのどの粘膜、唾液を採取し、

RNAを取り出し、DNAに変換し

DNAの鎖をほどき、

DNAを増殖させるプライマーという

塩基をつけ

酵素を使ってプライマーに続くDNAを合成し

それを何度も繰り返し、

DNAを合成して増やし

コンピュータで解析して

グラフの曲線が立ち上がったら、

ウイルスの持つDNAが増えたということで、陽性と判定される。

普通ゼロから新薬を開発するのに十数年以上かかるので、

すでにある薬を転用することが研究されている。

当然ワクチンの普及も待たれる。

しかしおそらく、

このコロナがいわゆる「収束した」頃には、

世界の方が変異をしていると思われる

中世が

近世が

資本主義社会が

終わったみたいに。

まったくべつの組み替えが

行われる──というか、行われている。

概念も枠組みも仕組みも

「われわれに親しかった思想」(フーコー

も変わるだろう。

 



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