現象の奥へ

【詩】「(今頃)テオ・アンゲロプロスを悼む」

 

「(今頃)テオ・アンゲロプロスを悼む」

 

旅芸人の記録

『狩人』

アレクサンダー大王

霧の中の風景

こうのとり、たちすさんで』

ときて、

ユリシーズの瞳』は、カンヌで賞を取り立てほやほやの

パリはサンジェルマン・デ・プレ付近

つまりデプレのデプレ

の映画館で観た。

無修正だったので、主役のハーヴェイ・カイテルのペニスが丸見えで、

それは、西洋人はでかい、の噂通りの巨根で揺れていた。

日本でもう一度観ると、

白いもやもやで隠されていた。

ハーヴェイ・カイテルの厳しい旅

エーゲ海の泥の中から吊りあげられる

ユリシーズ、つまり、オデュッセウス

巨大な石像

ギリシアのドラマは終わりを知らず、

まだまだ続く予定だったが、

ある日突然、

アンゲロプロスの交通事故、

オートバイに跳ねられるという事故によって

断ち切られた。

テオ、つまり、テオドロスの

旅は突然終わった。

なぜか急に、

彼を悼まねばならないという気持ちにさせられた。

アーメンでもなければ南無阿弥陀でもなく、

なにかの断面に

祈りを捧げる

ように。