現象の奥へ

【本】『英語達人塾 極めるための独習法指南 (中公新書) 新書』──学者を目指すなら、これ「も」よし(★★★)

『英語達人塾 極めるための独習法指南(中公新書) 新書』(斎藤 兆史 著、2003年6月24日、中央公論新社刊)

かなり昔に購入し、線もたくさん引いてある。いちいち実践していた時期もある。だが、当方もそれなりに年季(実力とは言わないが)を積んで、何度か取り出してみるに、これだでは、「世界レベルの教養人」になるには、無理があることがわかった。もしかしたら、NHK大河の、渋沢栄一に影響を受けているかもしれないが(笑)。私は、自分のすきな外国の本の原書が、どんなオリジナル言語(たいていは、英、仏、ときに、西、独、伊)で書かれているか、気になるたちで、手に入るかぎりは、翻訳書と同時に原書も購入してきた。翻訳で気になるいいまわし、「これはオリジナル言語ではどういう表現がされているのだろう?」と付き合わせてみてきた。大した作業ではないが、数十年も経ってみると、なにか自分のなかに、オリジナルなものができていた。本書に並べてある原書の傾向は、スタイルなどが多岐にわたりすぎ、一般的な教科書にはなりうるが、とても、オリジナル「作家」になるには足りない。このまま、こうした勉強を進めていけば、あるいは優秀な学者になれる可能がなきしもあらず。しかし、とてもではないが、クリエーターは無理。だいたい「達人」て、なによ? これを「日本語達人」に置き換えてみれば、いったいどんな人が思いつく? デーブ・スペクターか?(笑)。悪いが、「文豪」とは言えない。やはり、私など、ドナルド・キーン先生の、深い読みに、多くを学ばされてきた。バイリンガルに近い、吉田健一も、キーン氏から日本文学史を学んだと言っていた。それに、某大手出版社で、「世界文学全集」に携わっていた、友人の編集者も言っていた。「学者の翻訳はだめだ!」