現象の奥へ

【本】叢書・同時代の詩Ⅳ「田村隆一『死語』」(昭和五十一年、河出書房新社)──なんだ、これ?

 たまに田村隆一を信望している人を見かけるが、はっきりいって、この人の書いているものは詩ではない。ではなんなのか? ただのメモというか走り書きというか──。ここには、清水哲男の、おビンボーな(笑)日常もなければ、教養も機知もなく、ただの酔っ払いのメモ以下のものである。いつからブランドのような詩人になったのか? 誰があがめたてたのか? これなら、ただの酔っ払いのメモの方がなにかしらの「実」がある。ここには実のようなものはなにもない。思想も思考も紋切り型以下。題名は『死語』であるが、死語以下である(笑)。家にこれがあるってことは、二十代前半の私は、なにかあると思って買っていたのかな〜?

 ただミステリーの翻訳とか、そういうものは、それなりの仕事ではないか? 詩集中に大幅引用(ここまで引用したら、その引用もとの詩人の作品ではないか?盗作じゃん(笑))されている鮎川信夫も、推理小説の翻訳ではすぐれていると思う。こういう人々が、多少英語ができることをいいことに、オーデンとかを、表面パクっていたのかもしれない。

 余談ではあるが、友人の編集者は、この人の葬儀の世話して、「他人のことで時間を取られるのはアタマに来る!」と怒っていた。かなり懇意にしてもらっていたようだが、全然うらやましくないし〜♪

 

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