現象の奥へ

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』──できが悪くてもよくてもボンド映画はお祭り(★★★★)

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(キャリー・ジョージ・フクナガ監督、2020年、原題『NO TIME TO DIE 』)

 

「007」は、たとえ紋切り型と言われようと、スタイリッシュで、ユーモアがあり、いつも最新鋭のテクノロジーと世界状況を用意している。これなくして、ダブル・オーは名乗れないだろう。だから、とるものもとりあえず初日に駆けつけると、30分遅れた(それでも「長い」(笑))にもかかわらず、豪華プレゼントをくれた。それは、「ノータイム・トゥ・キル」特性の銀色のキーフォルダーだった。しかも、この映画、やっと「タイトル」が出るのだった(笑)。あとまだたっぷり2時間はある。ついでに言っておけば、上映時間が2/3なら、傑作になり得たかもしれない。

 「マティーニは、ステアせずに、シェイクしてくれ」など、まねっこできるセンスも満載。

 かてて加えて今回は、「引退中」に、べつの人物が「007」に就任していて、その人物は、街で「ひっかけた」大柄なアフリカ系女性としてボンドの目の前に登場し、MI6の部屋では、「ダブル・オー」(殺しのライセンスを持つ)のライセンスを持つことをボンドが知り、その女性にたずねる。「何番?」「セブン」と彼女は答え、失望したようなボンドに、「007は永久欠番と思った? ただの数字よ。傷ついた?」とやられ、その後、「7」を改めて与えられたボンドから同じようにやられるシーンがあるが、二人の「007」は協力して悪に立ち向かうことになる。そのほかに、凄腕の、訓練三週間の美人エージェントも現れ、続編を期待させるが、ボンドは衆目の前で死ぬ。それというのも、DNAレベルのハイテク武器である物質を体内に入れられ、愛する者に触れると相手に死をもたらすことがわかり、レア・セドゥ扮する精神医学者(に見えないが(笑))を愛し、別れ、しかし、二人の間には、わかいい娘までできていたこともわかり……。ついでに、いえば、家族ができたボンドもオシマイではある(笑)。

 で、今回の「敵」は、そのDNAレベルの武器を手にして世界制覇をもくろむ「レクター博士」みたいなやつで(豪華にも、クリストフ・ヴァルツが扮している)、これは捕らえられて、MI6の「檻」に監禁されているのだが、DNAレベルの手段で、部下や息子(?)に指示する。この息子(?)役がラミ・マレックで、今回の「悪役スター」である。

 この敵役が死んだあと、毒草製造の要塞で、MI6側が発射させたミサイルを自ら受けて(逃げずに)ボンドは死ぬ──ことになる。

 しかして、最後に、

 

  James Bond will return.

 

 の文字。

 

    Yes, but with another actor.



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