現象の奥へ

『DUNE/デューン 砂の惑星』──中身空っぽの無駄遣い(★)

『DUNE/デューン 砂の惑星』(ドゥニ・ヴィルヌーブ監督、2020年 原題『DUNE』)

 1984年のリンチの『砂の惑星』も見ているが、なんとなく気になって、去年の5月にも、同作品をAmazonレンタルで見ていた。これは、かなり趣味的な、リンチのテーマ「変態」(笑)を貫いた、ちゃんと作品になり得ていて、あらためて感心した。スティングもよいが、なにより、カイル・マクラクランという絶世の美男あっての映画でもあった。

 今回、『ブレードランナー2049』の、ドゥニ・ヴィルヌーヴが、やはり、絶世の「美少年」、ティモシー・シャラメを得て、リメイクとなったが、リンチ作品にも、シルバーナ・マンガーノなどのスターが名を連ねていたが、ヴィルヌーブ作品も、錚錚たる俳優が名を連ねていて、画面の規模の大きさ、美しさといい、さぞかし金がかかっただろうと思わせる──。

 はい、ただそれだけの映画です(笑)。やってることは、昔からある、ヨーロッパや中国、大陸で繰り広げられていた陣地争い。そんな時代に生まれた、美しき青年とその母。曰くありげな出生や魔術、異形の人種……。裏切りだのなんだのの、ワンパターンの展開。

 これ以外のいったいなにがあるんですか? 三時間近いフィルムの無駄遣いのなかで。こんな映画に出演した俳優の映画は、今後見ずにすませられるという効用はあった(笑)。