「森」
どこかの国から逃れてきたんだけどサ、
どこの国かは忘れてしまった。
商売を始めた。
そう、この森のなか
マイクロバスが衣装部屋兼寝室
兼商売部屋
マスカラだけはたっぷりと
あそこの奥まで見せても
素顔は見せない。それって
鉄則じゃん
われわれの世界の。もう
ビデ付の部屋もない
遠く日本の、歌舞伎町とかゆー街の
裏通りの
立ちん坊より
まし
と、本場のあたいらは思ってる、そう
森があるからね。
昔も今も
森があたしたちを守ってくれる、たとえ
変態にメッタ刺しにされることがあっても
あたしには魔女のささやきに聞こえる
どこかの国から逃れてきたんだけどサ
どこの国かはもう忘れた。