現象の奥へ

吉本隆明とは何者だったのか?

吉本隆明とは何者だったのか?」

21年前に、こう書いていた↓拙HPに(今は表示していないが)

http://www.mars.dti.ne.jp/~rukibo/

そして、フーコーとの「対談」では、恥ずかしながら、論破されている、というより、おのれの恥を晒している。しかし、その対談は、フランス語版のフーコー全集に載っている。小林秀雄が、「作家志望の諸君へ」と題するエッセイで、「少なくとも二つ以上の外国語をマスターしたまえ」というようなことを書いていた。当然、小林は、ベルクソンを仏語で読んでいる……ようだ。そんなことはおくびに出していないが。で、私も、30年前からそう思って行動し、いま、仏語のテクストは、なんとか読める。それに英語だが。重要な原書は集めてある。いやしくも評論を書く以上は、そうでないと……。

****

「蓮實▼吉本さんは、詩人だということがあるかもしれないけれども、形容詞がかなり多いですよ。

  柄谷▼彼の言葉は全部比喩ですよ。比喩は共同体のなかだけで通じるだけです。つまり、吉本を『今世紀最大の思想家』と思っているような人たちのあいだで。彼の言葉はあまりにも不正確で読むに耐えない」

 (蓮實の「形容詞は共同体的なもの」という発言をもとにして。蓮實重彦柄谷行人闘争のエチカ』(河出書房新社 1988年刊)

 吉本隆明の某紙連載エッセイをもとに、「惚けた」とか「惚けてない」とかの声をまま聞くが、10年以上前から、吉本なんてものはその程度のものだったのである。まあ、私も大学時代はそれなりに読んだが、それきり、読もうという意欲がない。なんせ、外国の本はすべて翻訳ですませているらしい人ですから(『書物の解体学』)。

 「思想家」なら、外国語のひとつぐらい「読めて」ほしい。

 『闘争のエチカ』は『倫理21』よりためになり、かつ面白い本です。未読で探してみたい人のためのリンク追加しました。(2000/5/30)