現象の奥へ

【詩】「固有名」

「固有名」

 

「人物の名を語ること、それは顔を表現することである。ありとあらゆる名詞や常套句の只中にあって、固有名は意味の解体に抵抗し、私たちの発語を支えてくれるのではないだろうか」(エマニュエル・レヴィナス『固有名』合田正人訳、みすず書房

 

エリオットのプルーフロック

プルーストのスワン

ダンテのベアトリーチェ

ダヴィンチのジョコンダ

ボルヘス吉良上野介

シェークスピアのジュリエット

ベケットのゴドー

紫式部の薫

たとえ架空でも

固有名を持ち

抽象化の覆い隠しに

激しく抵抗する。

なぜ固有名を書けないのか?

知らないからだ(笑)

作品を。

教養がないからだ(笑)。

だから内実のない抽象的な言葉を

振り回し

なにか表現した気になっている。

悔しかったら、書いてみろ!

固有名を。