現象の奥へ

【詩】「篝火(かがりび)」

「篝火(かがりび)」

 

ぼくはこの箇所がいちばんすきなんだ、

あなたはいきなり言った、サイデンステッカー英訳二巻本の一、

Chapter 27、Flaresの部分を開いて、

They burn, these flares and my heart, and send off smoke.

The smoke from my heart refuses to be dispersed.

それから流暢な日本語で、

篝火(かがりび)にたちそふ恋(こひ)のけぶりこそ世にはたえせぬほのをなりけれ。

あの広大なテクストのなかで?

そう。

プルーストの『失われた時を求めて』ほど広大じゃないよ。

その時われわれは、恋におちたことを知った。

行ゑ(ゆくへ)なき空に消(け)ちてよ篝火(かがりび)のたよりにたぐふけぶりとならば。

If from your heart and the flares the smoke is the same,

Then one might expect it to find a place in the heavens.