現象の奥へ

【詩】「王」

「王」

 

かつて、蛙であったもの、

小屋で窒息させられ、

少女とともに、餓死させられ、

それでも蘇るとしたら、

それは概念の合成で、王と、

神が、合体させられている。

人間を許し給え、伝説の濃さで、

歴史を塗り込めれば、犠牲の山羊が王としてよみがえる。

魔法使い、精霊、王、英雄、妃、

それしかいない。

そんなものがたりを、シェークスピア以外、誰が書く。

男をこれほどまで愛した男がほかにいたか。

小川の水がかぎりなく透き通る夜、影たちが物語を作り出す。

円卓へ!