現象の奥へ

【詩】「双六」

「双六」

 

一枚の紙をひろげれば、できあがる世界。

切ない年始めのこころを受け止める。

骰子ふり出た目の数をすすめば、

骰子一擲ネバーネバー同じならずの声。

「おんな双六」なるもののあがりは、

「奥さま」

紋のある羽織を羽織ってかしこまった奥さまの、

はじまりは、はて、なんだったかしら?

女給? 職業婦人?

夜も更け、子どものこころにも虚無がやってくる頃、

遠い未来はウイルスなる宝を用意して待っている、

とも知らず、翌日へと続く寝床へ。

このゲームも、紙を畳んでしまえば、

おしまい。