「双六」
一枚の紙をひろげれば、できあがる世界。
切ない年始めのこころを受け止める。
骰子ふり出た目の数をすすめば、
骰子一擲ネバーネバー同じならずの声。
「おんな双六」なるもののあがりは、
「奥さま」
紋のある羽織を羽織ってかしこまった奥さまの、
はじまりは、はて、なんだったかしら?
女給? 職業婦人?
夜も更け、子どものこころにも虚無がやってくる頃、
遠い未来はウイルスなる宝を用意して待っている、
とも知らず、翌日へと続く寝床へ。
このゲームも、紙を畳んでしまえば、
おしまい。