現象の奥へ

【詩】「久女」

「久女」

 

杉田久女が、立子の独楽と落葉の連作五句を論じている。

独楽を持って寺の境内を上ってくる子どもたちの姿を、

映画のように次々移り変わる五句を、まさに、

映画のようであることを気づかせるように解説している。

そこで私も独楽で遊んだことを思い出した。

鉄の脚に紐をぐるぐる巻き付けて地面に放り出す独楽は、技術がいる。

結局、おんなの私はうまくできなかった。

久女については、高校時代の演劇部の顧問、黒川先生が、その句を教えてくれ、

私のなかに根付いた。

張りとほす女の意地や藍浴衣

戯曲読む冬夜の食器漬けしまま

同じく教えてくれたボーボワールと並んで私の基礎となっている。

その後テレビで樹木希林が久女を演じ、夫役を二枚目の高橋幸治が演じた。

だから、久女というと、いつも樹木希林の顔が浮かぶ。