「adornoの『mahler』」
音楽にウルサイ、とてもウルサイ、アドルノが、マーラーについて書いている本は、
正直言って、なにが書いてあるかわからない。
ただマーラーの交響曲は、ヴィスコンティの『ベニスに死す』や、
伝染病がはびこるベニスの街路や
大石内蔵助がさまよう、江戸の街を縫ってながれ、
観るものの脳裏へ棲みつくのを認めるだけだ。
C'est comme un mince rideau qui pendrait du ciel,
Râpé et opaque tout à la fois;
Un voile de nuages blancs produit sur des yeux sensibles
La même sensation douloureuse.
それは空に吊られた薄いカーテンのよう、薄いのに不透明で、
苦しみの感覚を眼にもたらすような白い雲のベール。
そう、そういう音楽だってあるんだよね、ランボーくん。