現象の奥へ

【詩】「荻生徂徠」

荻生徂徠

 

主君の仇を討った、赤穂の浪人たちに、江戸の街の人々は喝采を送った。

このテロリストたちを無罪放免にすべきだ、という意見もあった。

浪人たちは主君の菩提寺である高輪泉岳寺に身柄を預けられていた。

浅野内匠頭を、即日切腹させたのは徳川綱吉であったが、

彼も、彼らの「手柄」を忠誠心の手本として、

民の心をつかもうとしていた。だが、

綱吉のイデオローグ、荻生徂徠はリベラルであったがゆえに、

罪は罪として償わせるべきだと主張、

彼の意見が通った。

徂徠は中国語ぺらぺらのほぼバイリンガル

近代の学者でいえば、吉川幸次郎といったところか。

それで、泉岳寺に四十七人、一人は赤穂へ報告のために逃がされたので、もともとは四十八人か。

彼らの戒名にはすべて、

「刃」という文字が入っている。