現象の奥へ

【詩】「ヘレナ」

「ヘレナ」

 

絶世の美女というものがあったら、

それは、伝説、を呑み込まねばならないだろう。

その女のために戦争が起こり、

彼女を奪った王子は、トロイアのパリス。

ごめんなさい、私が思い出させるのは、

劇団『四季』の影まりえ、それから、ダイアン・クルーガー

やがて白骨になり、誰かに踏まれて、

時のたつのをしみじみと、感じる。

なにもかも、地球でのできごと、

地球はひとつのお星さま。

「ヘレナが生きていた頃」という詩を、イエイツが書いた。

そのひとさえ死んでしまって、

すでにわれらは、美とはなにかさえ、

記憶していない。