現象の奥へ

【詩】「地質学的な隠喩。」

「地質学的な隠喩。」

 

井筒俊彦高野山の記念日によばれて、講演をすることになった。

わたくしのような素人が、と、井筒はきりだし、そのうち、

しにふぃあんにおよんだ。

意味を超えたことばが、宇宙を包んでいるんです。

山の葉っぱのひとつひとつが声を発しているんです。

それがしにふぃあん。

その音声をいぬの散歩で聴いているのであるが、

わたしが思いうかべる山は、遠州のつらなる山というよりは、

しもじ小学校の運動場を囲む土手なのである。

私は広大なものにかんしんがないのか。

いつも、どちらかといえば、自分がなじんだ、

小さなものを想像してしまう。

「地質学的な隠喩。」これはオクタビオ・パスの、

レヴィ=ストロースについての本の章題の一部だ。