現象の奥へ

【詩】「金枝篇」

  

金枝篇

 

それは文章を読まない、

ゆえに文学の歩みに汚されていない、

民たちの、物語。

まだ自然しかなく、伝説もない、

ギリシア悲劇でさえ近づけぬ森の。

祭司を殺してまた祭司になる、その祭司も殺されるまでは祭司である。

ターナーはそんな世界を描いている。

「私のThe Waste Landは、J.L.ウェストン女史の『祭祀からロマンスへ』に負っています」

とT.S.エリオットは言って、

「私の『祭祀からロマンスへ』は、J.G.フレイザーの『金枝篇』に負っています」とウェストン女史は言った。

はるか昔、まだアーサー王は存在せず、

休息と祭りと、妖精たちだけがいた。

ああ、夢のような空間、でも夢ではない。

にんげんは、ここちよさを知った。


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