「金枝篇」
それは文章を読まない、
ゆえに文学の歩みに汚されていない、
民たちの、物語。
まだ自然しかなく、伝説もない、
ギリシア悲劇でさえ近づけぬ森の。
祭司を殺してまた祭司になる、その祭司も殺されるまでは祭司である。
ターナーはそんな世界を描いている。
「私のThe Waste Landは、J.L.ウェストン女史の『祭祀からロマンスへ』に負っています」
とT.S.エリオットは言って、
「私の『祭祀からロマンスへ』は、J.G.フレイザーの『金枝篇』に負っています」とウェストン女史は言った。
はるか昔、まだアーサー王は存在せず、
休息と祭りと、妖精たちだけがいた。
ああ、夢のような空間、でも夢ではない。
にんげんは、ここちよさを知った。