現象の奥へ

フーコーを読む、その1

フーコーを読む】

Michel Foucault の書物は、没後出た、著書以外の文献等を集めた「全集」"Foucault Dits et écrits Ⅰ, 1954-1975", "Ⅱ”, 1976-1988. それに著書として刊行されている論文がすべてである。この翻訳は、日本で出ているが、こともあろうに、筑摩書房は、上の「全集」を年代順を、ずたずたにし、「テーマ別」に編集しなおしている。編集部あるいは、編集部が依頼した学者の考えか、当時流行った(?)テーマ、「死」とか「愛」とかのテーマのもとに、集められ訳本にされている。少しでも「わかりやすく」したかったのか、担当している学者たちも理解できなかったのか、書かれた、あるいは、喋られた年代の順序を無視していくと、実は、フーコーの思考の流れはまったくわからなくなる。
 フーコーの多くに著作のなかで、最も重要であるのは、『言葉と物』であると思われる。で、詳細に読んでいこうと思う。
 あらゆる書物で重要なのは「序文」であるが、フーコーにおいてはとくにそうで、ドイツの精神科医ビンガー『夢と実存』の翻訳本のためにフーコーが書いた序文は、本文の倍以上ある。ほとんど序文で証されていると言ってもいい。

Les mots et les choses

Une archéologie des humaines

Préface

Ce livre a son lieu de naissance dans un texte de Borges. Dans le rire qui secoue à sa lecture toutes les familiarités de la pensée___de la nôtre : de celle qui notre âge et notre géographie___, 

この本は、ボルヘスのあるテキストを出生地としている。われわれに親しい思考による解読、われわれの、われらの年代、地質学的に親しいわれらの考えを覆す──