現象の奥へ

「夏のテクスト」

「夏のテクスト」

宇宙は偶然のなかから生まれたなら、あらゆる
テクストはテクストクリティークを、たとえ無意識でも、
含んでいなければならず、
古今集のなかに柿本人麿の歌が七首混入されている
ことに留意しなければならず、
わがやどの池の藤波咲きにけり山ほととぎすいつか来鳴かむ
「この」時代を一時的災禍と思えど、
ひとびとの「待つ」時代は二度と帰らず。
うたの藤とは、自生の藤であり、
すでにここに人間は消失し、
SDGSみたいなわけのわからない
ウィルスがはびこっている。
地球となづけられた星に自転があり、
「夏」は来ている。それは水。