「サミュエル・ベケットが書くプルースト論」
プルーストの『失われた時を求めては』は、モンクリーフの英訳で、4000ページ、150万語から成る。
これをベケットは仏語と英語で、数回読み通し、
小冊子で100ページ足らずの評論を書いた。
方程式を探るために、「双頭の怪物」時間の。
「構造の足場」がどこで発見されるか。
みずから、時と言葉に、がんじがらめになりながら。
排除されるものは、ありきたりのプルーストの用語、
伝説化されている文学論。
なんのために?
意志的な記憶がなんの意味もなさず、
無意味さのなかの
懐かしさに触れるために。
考えろ! 考えるのだ!
おのれの脳に命令するために。