現象の奥へ

「貫之」

「貫之」

つらゆきといふ名が風になつたり
もみぢになつたり、ひゆになつたり、
をとば山の梢になつたり、
して、時間としてわたしの内部にとけるとき、
じさつしゃがやってきて、
じつとみつめてくれる
なまえはべるんはると
おーすとりあのだいしじんなり。
しかし、かれは闇にすんでいる。
深い、ねむりのなかに
かれの物語はてんかいする。
わたしは馬上でつらゆきに抱かれて
その読めない物語を読もうとする。
つきすすめ! ベルンハルト!