現象の奥へ

「源氏物語」

源氏物語

この時代、紙は貴重なり。ゆえにパトロンがいる。パトロンは、「教え子」中宮彰子の父、藤原道長なり。
全巻中、雲隠という章は題名のみ。
はて。雲隠の章は紛失す。宣長だったか。それ以前の章は後より付け足された章なり。ゆへに、雲隠の章から始まれり?
宣長考へり、もののあはれ、とは。
もの(現実)への思ひ。
ミシェル・フーコーの、言葉(思ひ)ともの(現実)と重なるところあり。
よのなか、「もの」なくして、詩心存在せず。
ゆへに、われは、ある日、道長が、わが部屋より、
書きかけの原稿を勝手に、持ち出したことを許すまじ。
「日記」に記しておくなり。
わが「物語」はそこにあり。
そして、花の色は、紫ではなく、
オミナエシの、黄色なり。