現象の奥へ

【【昔のレビューをもう一度】「クィーン」

【昔のレビューをもう一度】2007年4月14日公開

『クィーン』
THE QUEEN
104分2007年4月14日公開
「Dignity(気品)」

 本作を観ると、「立憲君主制」とは、いかなることか、よくわかる。その点、わが国も、同政体をとっているのだが、果たして、ほんとうの立憲君主制なのだろうか?と疑問に思う。 
イギリスは、立憲君主制でかつ、民主主義の国。それを女王はよく理解している。首相になる人物もよく理解している。
しかも、王室にも家族がある。それを詳しく描いているのも面白い。日本ではとても無理だろう(笑)。
 このたび、「ほんものの」(笑)エリザベス二世がアメリカを訪問したが、ブッシュ大統領は最大級の正装、「ホワイトタイ」で、ディナーに臨んでいた。一方、エリザベス女王も、最高の正装、失礼ながら、どこかの国の皇室の方々におかれましては、そういう装いをなさっていらっさるところを見たこともないような、すばらしい装いをなさっていらっさいました。ただきらびやかなだけでなく、センスもすばらしいように思った。御年80歳。
ヘレン・ミレン(私の記憶では、セクシー派の女優であったような……)演じるエリザベス二世は、ダイアナが死んだ年には、70歳であったのだから、60歳をちょっと出たばかりのヘレン・ミレンには老け役だった。70歳の女性のような歩きっぷり、しかし、姿勢は女王然として……。真のDignity(気品)というものを体現していた。 
 保守は保守でも、伝統の厚味というものを見せつけられた一作である。イギリスは、開かれている!