現象の奥へ

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート監督)──映画の時代が終わったあとの新生映画(★★★★★)

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(ダニエル・クワンダニエル・シャイナート監督)──映画の時代が終わったあとの新生映画(★★★★★)

 

すでに映画の時代は終わり、もう感動とか物語とか、かっこいい美形のヒーロー、ヒロインで、観客を惹きつけることにはなんの魅力もなくなった。もうそんなものでは稼げない。映画は、本作そのものではないが、宇宙人に乗っ取られた(笑)。しかし、アカデミーの業界自体が、本作を評価したのだ。この、いかにも素人が作りそうな、そして、そのくせ素人がけちをつけそうな(笑)。しかし、本作をりっぱな作品にしているのは、この3章に分かれた壮大な構成と、主演俳優たちの生活感溢れる庶民ぶりである。「あるあるオバサン」「あるあるダンナ」「あるあるジーチャン」「あるあるムスメ」そして、「あるある税務署のオバチャン」。彼らを演じるのが、さっぱりと動きもかろやかなスターたちである。これは、見なくっちゃ。そして、もうストーリーは、ハチャメチャじゃないとだめ(笑)!

本作はまー、ジジイは拒絶反応を示すかもしれんな。とくに、古きよき時代の映画につかっていた人々は。ごめんねー、映画は「べつもの」になっちゃったんよ〜♪