現象の奥へ

【詩】「戀」

「戀」

生まれてくるのが早すぎた、
のか、塚本邦雄は辛くて深い沼のなかで呻吟し、
六百番歌わせの批評、詩、小説の一体化した
本を作ってしまった。
いまでは、LGBTなどもNHKで楽しく歌われている。
しかし、家族を持ってしまった氏は、
闇に翻弄されるがままになり
エントロピーの淵を彷徨うのだった。
「恋のしごくは忍ぶ恋一生忍んで思い死ぬすること恋の本意なれ」
と佐賀の武士常朝の『葉隠れ』愛した
三島由紀夫のように
軽やかに首を飛ばすこともできず、
担当編集者にも嫌われたまま
この世に別れを告げた。
アーメン。
宗教はこちらで選ばせていただきました。

思ひおく心の底の夢ならばさめてののちも人に語らじ 寂蓮