2023-05-18 【詩】「どうする山下?」 詩 「どうする山下?」父方は遠江浜松、母方は長篠ことしは、そういう年だ。遠州の森に来てみれば茶工場あり。あたりは揉み砕かれる茶葉の匂いに満ちている。伯父と父がなにやら茶葉を噛みながら、うなずき合っている。むきだしの梁から下がった木のブランコを漕いで、わたしは未来を覗こうとしている。どうする山下? ここにいる全員山下だ。静岡ウサギが懐中時計を見て、いけね、アリスと赤ずきんが役柄を交代する時刻だ。