現象の奥へ

【詩】「どうする山下?」

「どうする山下?」

父方は遠江浜松、
母方は長篠
ことしは、そういう年だ。
遠州の森に来てみれば
茶工場あり。あたりは揉み砕かれる茶葉の匂いに満ちている。
伯父と父がなにやら茶葉を噛みながら、うなずき合っている。
むきだしの梁から下がった木のブランコを漕いで、
わたしは未来を覗こうとしている。
どうする山下? ここにいる全員山下だ。
静岡ウサギが懐中時計を見て、
いけね、アリスと赤ずきん
役柄を交代する時刻だ。