現象の奥へ

【詩】「Voyage au bout de la nuit(夜の果てへの旅)」

「Voyage au bout de la nuit(夜の果てへの旅)」

Ça débuté comme ça.
それはこんなふうに始まった。
夜はいつから始まったのか、皆目見当がつかなかった。
ただ夜のなかを漂うように歩いていた。
はじめ、それは郷愁を誘う音楽のようであり、
上から見下ろす、童話の絵本のようでもあった。
光が母の声のようにあたたかく感じられる、
人々が安楽椅子でミステリーを語りはじめる時刻。
辛い悲しい決定が世界のどこかで起こり、
見覚えない街へ足を踏み入れる。
長い間忘れられていた詩。
それが蘇る、
きみは悟るときがきた、
すでに果てでその向こうは
予想さえしなかった事態。
生まれてはじめて見るものを見つつきみは、
死ぬ。