「Voyage au bout de la nuit(夜の果てへの旅)」
Ça débuté comme ça.
それはこんなふうに始まった。
夜はいつから始まったのか、皆目見当がつかなかった。
ただ夜のなかを漂うように歩いていた。
はじめ、それは郷愁を誘う音楽のようであり、
上から見下ろす、童話の絵本のようでもあった。
光が母の声のようにあたたかく感じられる、
人々が安楽椅子でミステリーを語りはじめる時刻。
辛い悲しい決定が世界のどこかで起こり、
見覚えない街へ足を踏み入れる。
長い間忘れられていた詩。
それが蘇る、
きみは悟るときがきた、
すでに果てでその向こうは
予想さえしなかった事態。
生まれてはじめて見るものを見つつきみは、
死ぬ。