現象の奥へ

【詩】「絵合(ゑあはせ)」

「絵合(ゑあはせ)」
 
暗き夜に走りゆくものありし、
そは光なり、暗き穴より出でて、世界を、創るために。
暗き夜に震えるものありし、
そは鳥なり、暗き枝を降りて、茂みに身を潜め、
いま見てきたばかりの滅亡におびえる。
暗き夜を抱きしめるものあり、
そはきみ、だが、いまだかたちをとらず、言葉を知らない。
がさごそと、ユダヤの神々が交合しているとき、
わが源氏は出家を考えていた、
もう絵は見たくない、どの絵も、人間の醜さのあらわれ 、Menschsein(人間存在)!
ヒトラーこそが正しいとハイデガーは一瞬考えその考えを暗き夜のもとに廃棄した。
御堂はつくったが、いまはそのときでないと源氏の子らは思った。
 いかにおぼしをきつるにかと、いと知りがたし。