現象の奥へ

Entries from 2020-06-01 to 1 month

『ANNA/アナ 』──ビッチに乾杯!(★★★★★)(ネタバレ注意!)

『ANNA/アナ 』(リュック・ベッソン監督、2019年、原題『ANNA』) リュック・ベッソンと自分は、ほとんど同じことを考えているのではないか?と思うぐらい今回の映画には興奮した。作られる女スパイとは、どうせ、KGBの幹部役のヘレン・ミレン(父はロ…

【昔のレビューをもう一度】『ゲティ家の身代金』──「カンヌ」なんてカンケーねえな(爆)(★★★★★)

『ゲティ家の身代金』(リドリー・スコット監督、2017 年、原題『ALL THE MONEY IN THE WORLD』) 2018年6月7日 10時13分 1973年に起こった、大富豪の孫の誘拐事件がもとになっている。1973年といえば、オイルショックの年である。日本では街中の灯りが消え…

『ペイン・アンド・グローリー』──男が男を愛する時(★★★★★)

『ペイン・アンド・グローリー』(ペドロ・アルモドバル監督、2019年、原題『DOLOR Y GLORIA/PAIN AND GLORY』) 見ているうちに、自然に、『欲望の法則』(1987年)を思い出した。そしてそれはちょうど、本編で語られる、「32年前の映画」だった。男三人の…

「誇り高き野良の肖像」

「誇り高き野良の肖像」

【昔のレビューをもう一度】『オオカミは嘘をつく』──イスラエル人がイスラエルを告発した映画(★★★★★)

『オオカミは嘘をつく』(アハロン・ケシャレス ナヴォット・パプシャド監督、2013年、原題『BIG BAD WOLVES』) 2015年1月29日 1時00分 タランティーノ絶賛!という宣伝文句だが、それもよくわかる。「タラちゃん絶賛!」がなかったら、スルーされていた映…

行わけ詩?

ボルヘスは、詩の内実は、リズムだと言っている。そういうとき、行わけが必要になるんです。自分は、T.S.エリオットから詩を学んでいるんで、日本の詩人のみなさんが、散文がどうこう、行わけがどうこうと、侃々諤々している意味がまったくわかりません。だ…

『デッド・ドント・ダイ 』──『未知との遭遇』×『バタリアン』(★★★★★)

『デッド・ドント・ダイ 』(ジム・ジャームッシュ監督、2019年、原題『THE DEAD DON'T DIE』) ジム・ジャームッシュの映画に、マジを期待してはいけない。「どうせ」、なにかのパロディ&メタなのである。今回は、スピルバーグの『未知との遭遇』の、あの…

【詩】「突如、都はるみがたち昇る」

「突如、都はるみがたち昇る」 ゲイのためなら女房も泣かす、それがどうした? モンクがあるか! 私の不徳といたすところです。多目的トイレで、一万円で── すきおうていっしょになった仲やないの、あんたぁ、遊びなはれ、酒も飲みなはれ すみせん、多目的ト…

【新型コロナ感染者、今年末には、2億2000万人以上と予想】

いろいろな施設や商店などが再開され、あたかも、ウイルス状況のなにかが緩和したかの錯覚を起こさせるが、科学的事実は以前「拡大」し続けている。毎日、山中伸弥教授のサイトを見ていると、それがわかる。 ●コロナウイルス arXiv*(15)2020 年 6月11日 黑木…

けふの一句

さみだれに見えずなりぬる小径かな 蕪村

【詩】「少女(おとめ)」(『源氏物語21』)

「少女(おとめ)」(『源氏物語21』) おとめ子も袖さびぬらしあまつ袖ふるき世の友よはひ経ぬれば じかんのなかには何がある? かがみのなかには何がある? よるのなかには、よあけのなかには きみは鏡に問い続け 問うことだけが勉強と さらに 問いのなか…

『インティマシー/親密 』──あらゆる意味でほんもののセックス(★★★★★)

『インティマシー/親密 』(パトリス・シェロー監督、2000年、原題『INTIMACY』) お互いに名前さえ知らない男女が、週に一度、水曜に、男の住まいで、性交のみを繰り返す。まるで『ラスト・タンゴ・イン・パリ』だが、中身はだいぶ違う。男は中年(といっ…

『ラストタンゴ・イン・パリ 』──ゴダールにもトリュフォーにもなれなかった(★★)

『ラストタンゴ・イン・パリ』(ベルナルド・ベルトルッチ監督、1972年、原題『LAST TANGO IN PARIS/ULTIMO TANGO A PARIGI』) 昔テレビかなにかで見た記憶があるが、ちゃんと見たのかどうかはわからない。ラストシーンだけはなんとなく記憶にあった。それ…

山下晴代第九詩集「なりゆき」発売!

ついに出た! コロナ時代をサバイバルするための、第九詩集! おうちで本書を読んで、「コロナ後」を生き抜く思想を鍛えよう! すべて込みで、1500円! メールでもお受けいたします! rukibo@mars.dti.ne.jp https://www.seichoku.com/user_data/booksale.ph…

【昔のレビューをもう一度】『万引き家族』──確信犯的

『万引き家族』( 是枝裕和監督、2018年、英題『SHOPLIFTERS) 本作は、是枝作品としては決して最上の作とはいえず、かつ、カンヌ映画祭で、柳楽優弥に14歳で最年少主演男優賞をもたらした、『誰も知らない』の、自己模倣作品と言える。テーマ的には一歩も進…

『博士の異常な愛情 』──キューブリックとセラーズ、二人の天才

『博士の異常な愛情 』( スタンリー・キューブリック監督、1964年、原題『DR. STRANGELOVE: OR HOW I LEARNED TO STOP WORRYING AND LOVE THE BOMB』 キューブリックはまさに「巨匠」の名にふさわしい監督であり、『2001年宇宙の旅』など歴史に残る傑作なの…

『さすらいの二人』──ジャック・ニコルスンのけれんみのない演技

『さすらいの二人』( ミケランジェロ・アントニオーニ監督、1974年、原題『IL REPORTER/PROFESSIONE: REPORTER』) ストーリーを知り、テレビ放映かで漠然と見た時から、二十年以上、私のテーマであった。自分以外の人間になりかわって、その人の生を生きて…