現象の奥へ

Entries from 2019-09-01 to 1 month

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち 』──Time is life(堀江貴文『時間革命』より)(★★★★★)

『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち 』(キム・グエン監督、2018年、原題『THE HUMMINGBIRD PROJECT』) Facebookの創始者、マーク・ザッカーバーグを描いた『ソーシャルネット・ワーク』で、ザッカーバーグその人を演じて、GAFA時代の感性と知…

【詩】「La Carte Postale(絵はがき)」

「La Carte Postale(絵はがき)」 「第一次大戦と第二次大戦とでは、第一次大戦の方がはるかに悲惨だったね」小林秀雄が河上徹太郎に話しかける。河上相づちをうって、「ああ、そうりゃあもう」その会話を聞いてから、その証拠を探し始めている私だがめぐり…

『アド・アストラ 』──最高に美しいブラピとまったく新しい映画(★★★★★)

『アド・アストラ』(ジェームズ・グレイ監督、2019年、原題『AD ASTRA』) 本作は、キューブリックの『2001年宇宙の旅』を見てない人、ホメロスの『オデュッセイア』を読んでない人、また、テオ・アンゲロプロスの『ユリシーズの瞳』を見ていない人、スピル…

【詩】「ジクムント・フロイト」

「ジクムント・フロイト」 科学、とはなんの関係もない 人間における性生活とは、イデオロギーにすぎない、 夢は独立し、暴走する 迷宮への甘いあこがれ。実際アメリカで私は、 行方不明になった。弟子たちとりわけユングが 大騒ぎして探してくれた。 そんな…

【詩】「アンリ・ベルクソン」

「アンリ・ベルクソン」 時間の中で、言葉と空間の間に吊られ 意識を取り出そうと夢見る。同時期フロイトと、 同じものを見つめ、 魂のありかを探る。 結局、肉体と魂は平行していないことを 発見し、みずからのなきがらを葬る。 そらこれが魂というものだ、…

『SHADOW/影武者 』──あの赤、さすが中国のスピルバーグ(★★★★★)

『SHADOW/影武者 』(チャン・イーモウ監督、2018年、原題『影/SHADOW』 三国時代、日本で言えば、弥生時代で卑弥呼が活躍(笑)、西洋は、ローマ帝国の時代である。そんな時代の、国盗り物語の一エピソード、腕も頭もたつ、重臣の一人が、国を取り返そうと…

【詩】「お茶と同情」

「お茶と同情」 茶葉は香りよく煎られ古い映画のタイトルは忘れ刺客隠れたる茶工場のわが幼年期の雨父はまだ若くして父性を知らず坂道に立ち行き方を迷っている坂道の上なら港下なら街 *老去功名意囀疏獨騎痩馬取長途孤村到暁猶燈火知有人家夜讀書 **「中国…

【本】『恋人たちはせーので光る 』──「商品」としては完璧、しかし著者が「男性」である「疑惑」は残る(笑)。

『恋人たちはせーので光る』(最果タヒ著、 2019年8月30日、リトル・モア刊)最果 タヒ (著) 徹底して顔出しをしない「覆面詩人」。そういう書き手は、過去にも、アメリカ作家ピンチョンだったか、いろいろいたし、日本でもいる。しかし彼らは、公の場には顔…

【詩】「難破船」

「難破船」 たかが恋なんてと歌い出すのは中森明菜か加藤登紀子かそれはそれとして海底に沈んだ船は時間から抜け出した海賊船ソマリアの?トム・ハンクスも飛び越えてきみにできるのは声を鍛えること当然シェークスピアの舞台にたつためにシェークスピアを上…

新詩集『ねじの回転』発売!

フーコーに始まり、フーコーに終わる。「現代詩」と決別の32編、1500円、コスパ高し! 秋の夜長に紅茶とともに、人生を思考しよう! 山下晴代詩集『ねじの回転』。 製直.com以外の方はメールでご注文ください。 rukibo@mars.dti.ne.jp https://www.seichoku.…

【昔のレビューをもう一度】『アンジェリカの微笑み 』──映画とは何かを教えオリヴェイラ逝く(★★★★★)

『アンジェリカの微笑み』(マノエル・ド・オリヴェイラ監督、2010年、原題『O ESTRANHO CASO DE ANGELICA/THE STRANGE CASE OF ANGELICA』) 2016年1月30日 5時57分 「オリヴェイラは世界最大の映画作家である」と、蓮實重彥は、『映画狂人、神出鬼没』(河…

【詩】「愛からの逃走」

「愛からの逃走」 あれも詩これも詩たぶん詩……だって悲しいものよ書けないなんてちょっと気取った体位の夢を見たいの乾いたこの穴に水を与えてください金色のエキスちょっと絞ってください私はポエムの水中花 と、若い松坂慶子がレオタードに網タイツ姿で踊…

【詩】「ハムレット」

「ハムレット」 やがてはこのような題で詩、のようなものを書かねばならない未明が来ると、私もデンマークの王子にようにぼんやりと考えていた。真夜中の星とともに消えたのは、父あるいは遠い戦争の記憶で、ぼろ布をまとった修道士だったかもしれない。思え…

【昔のレビューをもう一度】『犬ヶ島 』──ゴダールはすでに終わっている。 (★★★★★)

『犬ヶ島』(ウェス・アンダーソン監督、2018年、原題『ISLE OF DOGS』 2018年6月4日 10時52分 ウェス・アンダーソンは、世界でほぼただひとり、映画で「現代思想」を表現している作家だ。それは、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001年)の時にすで…