現象の奥へ

映画レビュー

『MINAMATA―ミナマタ―』──デップ入魂の一作(★★★★★)

『MINAMATA―ミナマタ―』(アンドリュー・レヴィタス監督、2020年、原題『MINAMATA』) ジョニー・デップが『MINAMATA』のユージン・スミスを演じると知った数年前からずっと待っていた。映画は役者によって100%決定される。ゆえにハリウッドのスターは高額…

『スイング・ステート』──このテの映画はもうオワコン(★)

『スイング・ステート』(ジョン・スチュワート監督、2020年、原題『IRRESISTIBLE』) まったくどこが「コメディ」なのか、アメリカの選挙の代理戦争のような、参謀しだいのような、日本ではあまりなじみがない……といいたいが、だんだん「それに追いついてく…

『ジャングル・クルーズ』──女インディー・ジョーンズ!(★★★★★)

『ジャングル・クルーズ』( ジャウマ・コレット=セラ 監督、2020年、原題『JUNGLE CRUISE 』) 冒険してるのは、ウイルスさまだけで、人間の方はとんと。とくに夏は冒険したくなる。冒険を求めて!いざ、映画館へ!が、ま、いま許された冒険である。あのAm…

『光年のかなた』──スイスのヌーヴェルバーグは『鬼滅の刃』より俗っぽい(笑)(★★★)

『光年のかなた』(アラン・タネール監督、1981年、原題『LES ANNEES LUMIERE/LIGHT YEARS AWAY 』 1985年には、アテネ・フランセで特集が組まれたらしい、スイスの作家、アラン・タネールの作品を、ひょんなことから、VHS(笑)で、拝見することとなったが……

『KCIA 南山の部長たち 』──イ・ビョンホンの美しさあっての革命劇(★★★★★)

『KCIA 南山の部長たち 』(ウ・ミンホ監督、 2020年、原題『THE MAN STANDING NEXT』 観ようと思っていたが、見逃してしまったので、Primeビデオで観た。1979年、朴正熙大統領が、自ら設立した情報機関、アメリカのCIAをまねて、KCIAを作ったが、そ…

『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』──パンデミック時代の美しいアレゴリー(★★★★★)

『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(ジョン・クラシンスキー監督、2020年、原題『A QUIET PLACE PART II 』) 前作を見ていたので、もういいかなと思っていたが、キリアン・マーフィーが出演すると知って、がぜん食指が動いた。信頼できる役者が出て…

『ファーザー 』──ただのボケ問題を美化しているだけ(笑)(★)

『ファーザー』(フロリアン・ゼレール監督、2020年、原題『THE FATHER 』) この映画が作られたのは、2019年、おそらくパンデミック騒ぎになる寸前と思われる。すでにして旧世界である。今でこそ、認知症などという病名が大手を振って歩いているが、昔から…

『Mr.ノーバディ』──コロナ以後は介護老人にもご用心!(笑)(★★★★★)

『Mr. ノーバディ』 (イリヤ・ナイシュラー監督、 2021年、原題『NOBODY 』) 「さえない地味な中年男がキレて……」と映画サイトの説明にあるが、それはちょっと違う。そういう方が今の人々の関心を誘いやすいのだろうか? 本編は、初めから、タイトル通りの…

『アメリカン・ユートピア』──Show must go on with corona !(★★★★★)

『アメリカン・ユートピア』(スパイク・リー監督、2020年、原題『DAVID BYRNE'S AMERICAN UTOPIA』) 遅ればせながら(というのも、卒論が「オフ・オフ・ブロードウェイ」だったにもかかわらず(笑))、15年ほど前に初めてニューヨークに行って、初めてブ…

『アオラレ』──この時代、恐怖映画は難しい(笑)(★)

『アオラレ』(デリック・ボルテ監督、2020年、原題『UNHINGED 』) スターが演じる凶悪犯……。ルトガー・ハウアーの『ヒッチャー』ではないが、ついこのあいだだと、ドラボルタのストーカー。しかし、このテの映画は、初めから成功しないことはわかっている…

【AmazonPrimeVideo】『狼たちの午後 』──映画的思考の欠如(★★★)

『狼たちの午後』(シドニー・ルメット監督、1975年、原題『DOG DAY AFTERNOON』) ホアキン・フェニックスがなにかのインタビューで、『狼たちの午後』こそ映画らしい映画、こういう映画に出たいと語っていたので、プライム・ヴィデオで観てみた。当時から…

【昔のレビューをもう一度】『孤独のススメ』──性別のない、ただの愛(★★★★★)

『孤独のススメ』(ディーデリク・エビンゲ監督、 2013年、原題『MATTERHORN』)2016年5月12日 9時38分 なにやら北欧映画風の清潔さ、簡潔さ。おもしろくもない日常を送る孤独な初老の男の前に、「過去と言葉を持たない」(と解説にあった)男が現れ、ひょん…

【昔のレビューをもう一度】『ファナティック ハリウッドの狂愛者』

◎こんな映画を作ってしまうことじたい(今の日本みたいに?)激ヤバ 『ファナティック ハリウッドの熱狂者』(フレッド・ダースト監督、2019年、原題『THE FANATIC』) 役者で観る映画がある。トム・ハンクス、ダイアン・キートン、ジョン・トラボルタ……など…

【昔のレビューをもう一度】『ミッドナイトスワン』 ★祝!「日本アカデミー賞主演男優賞」

【昔のレビューをもう一度】『ミッドナイトスワン』 ★祝!「日本アカデミー賞主演男優賞」 『ミッドナイトスワン』(内田英治監督、2020年)──「草薙剛の「引き」の演技がすばらしい」(2020年10月2日)(★★★★★) 労働者の息子がバレエを習い始め才能に開花…

【【昔のレビューをもう一度】『Fukushima 50』

【昔のレビューをもう一度】『Fukushima 50 』(2019) ★この映画の結びで映し出されている名物の桜並木は、今(2021年)は枯れ果てているようです(NHKのドキュメンタリーで見た)。そして、つい最近も大きな地震があり、いまだに原発は稼働されていることが…

【DVD】『ブラックホーク・ダウン』──兵士たちのキャラを豪華俳優が演じる(★★★★★)

『ブラックホーク・ダウン』(リドリー・スコット監督、 2001年、原題『BLACK HAWK DOWN』 20年前にリアルで見た。そう、21世紀に入ったばかりの年で、9月には、「9.11」事件が起きた。本作は、それ以前に撮影されているが、私のなかでいつまでも印…

『また、あなたとブッククラブで』──やっぱりダイアン・キートンあっての映画(★★★★★)

『また、あなたとブッククラブで』(ビル・ホールダーマン監督、2018年、原題『BOOK CLUB』)(2020/12/18@キノシネマ天神(福岡)) ダイアン・キートン(撮影当時の2018年、72歳)、ジェーン・フォンダ(81歳)、キャンディス・バーゲン(72歳)、メアリー…

『新解釈・三國志 』──「中国」と呼べるのは1912年の「中華民国」から(★★★★★)

『新解釈・三國志 』(福田雄一監督、2020年) (2020/12/11@東宝ソラリア館(福岡)) 中国の歴史といっても、誰も知らない。というのは、1800年前は、実は、「中国」という名前さえなかった。いまでいう中国大陸に、さまざまな民族が興亡し、戦っていただ…

『魔女がいっぱい 』──ゼメキスの味わい方(★★★★★)

『魔女がいっぱい』(ロバート・ゼメキス監督、2020年、原題『THE WITCHES』) (2020/12/7@ユナイテッドシネマ、キャナルシティ13(博多)) USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)で、デロリアン号に乗ってしまった身としては、ゼメキスと聞けば、と…

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』──ヒットは日本人のアタマの劣化の証明(★)

(2020/12/2@天神東宝、ソラリアプラザ(福岡)) 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(外崎春雄監督、2020年) 「無限列車」とあったので、すぐに、『パラサイト』のポン・ジュノ監督の傑作、『スノウピアサー』(2013年)を思い浮かべた。しかし、本作は、…

『フレンチ・コネクション2 』──ハードボイルド・アクション映画のお手本(★★★★★)

『フレンチ・コネクション2』(ジョン・フランケンハイマー監督、1975年、原題『FRENCH CONNECTION II』) 『フレンチ・コネクション1』(1971年)は、ウィリアム・フリードキン監督で、ハックマンの主演男優賞をはじめ、監督、作品、編集などでアカデミー賞…

『スタートアップ! 』──ドンソクにはハマた〜(★★★★★)

『スタートアップ!』(チェ・ジョンヨル監督、2019年、原題『START-UP』) (2020/11/21@KBCシネマ福岡) 今日(土曜日)も、ほぼ満席に近い感じ。やはり、マ・ドンソク目当てなのだろうか。それほど若い人々でもなかったから。この俳優、『悪人伝』で初め…

『フェリーニのアマルコルド』──思想を洗練されたスタイルで描く(★★★★★)

2020/11/14@KBCシネマ(福岡) 『フェリーニのアマルコルド』(フェデリコ・フェリーニ、 1974年、原題『AMARCORD』) フェリーニの自伝的作品とよく言われているのに反して、フェリーニ自身は、本編は、彼の作品の中では「最も自伝的要素が少ない作品」であ…

『ストレイ・ドッグ』──ニコール入魂の一作(★★★★★)

2020/10/24@キノシネマ天神 『ストレイ・ドッグ』(カリン・クサマ監督、 2018年、原題『DESTROYER』) 30年前なら、デ・ニーロあたりが演じたような役を、ニコール・キッドマンが演じる。色は売らない。スカッとするような解決もない。シャーリーズ・セロン…

『博士と狂人 』──メルとペンが浮かび上がらせる言葉の世界(★★★★★)

(2020/10/19@キノシネマ天神) 『博士と狂人』( P・B・シェムラン監督、2018年、原題『THE PROFESSOR AND THE MADMAN』) メル・ギブソンとショーン・ペンが共演と知って、またどんなアクション映画? と思ったが、意外やオックスフォード辞典編纂の物語だ…

『スパイの妻<劇場版> 』──学芸会レベル(★)

『スパイの妻』(黒沢清監督、2020年、英語題名『WIFE OF A SPY』 蓮實重彥は、黒沢明のことを二流だと言った。さもありなん。近頃、「世界」では、クロサワと言えば、この「清」らしいけど、それはどこから出た「噂」なのか(笑)? 悪いけど、この映画、ベ…

『シカゴ7裁判』──「コロナ時代」から見た1968(★★★★★)

『シカゴ7裁判』(アーロン・ソーキン監督、2020年、原題『THE TRIAL OF THE CHICAGO 7』 (2020/10/10@キノシネマ天神) 「アメリカ人であることが恥ずかしいと思った」(スーザン・ソンタグ) 1968年と言えば、世界的に「革命」が起こった年、アメリカでも…

【昔のレビューをもう一度】『ロープ/戦場の生命線 』──センス抜群のおとなのおハナシ(★★★★★)

『ロープ/戦場の生命線 』(フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督、2015年、原題『A PERFECT DAY』 2018年2月18日 20時54分 解説と題名を見てしまうと、いかにもお堅い映画のようだが、全然ちがう。ベニチオ・デル・トロの男臭い魅力爆発の、恋愛映画な…

『ミッドナイトスワン』──草薙剛の「引き」の演技がすばらしい(★★★★★)

『ミッドナイトスワン』( 内田英治監督、2020年)(2020/10/1@キノシネマ天神) 労働者の息子がバレエを習い始め才能に開花し、反対していた父親も最後は応援してくれ、ニューヨークシティバレエだったかのプリンシパルにまでなる映画、『リトルダンサー』…

『ファナティック ハリウッドの狂愛者 』──センスはよいがリアリティがないのが致命的(★★★)(ネタバレ)

『ファナティック ハリウッドの狂愛者 』(フレッド・ダースト監督、2019年、原題『THE FANATIC』)(2020/9/23@KBCシネマ福岡) 役者で観る映画がある。トム・ハンクス、ダイアン・キートン、ジョン・トラボルタ……などなど。彼らが出るといえば、とりあ…