現象の奥へ

映画レビュー

【昔のレビューをもう一度】ゴダールの『アルファヴィル』(1965年)

ゴダールの『アルファヴィル』(1965年) 『ALPHAVILLE』(Jean-Luc Godard, 1965) 「続編」の、「新ドイツ零年」の方が有名だと思われる、もとになったフィルムだが、もともとハードボイルドスターの、エディー・コンスタンスが、地球外の星のアルファヴィ…

【【昔のレビューをもう一度】「クィーン」

【昔のレビューをもう一度】2007年4月14日公開『クィーン』THE QUEEN104分2007年4月14日公開「Dignity(気品)」 本作を観ると、「立憲君主制」とは、いかなることか、よくわかる。その点、わが国も、同政体をとっているのだが、果たして、ほんとうの立憲君…

『L.A.コールドケース』──やっとアメリカも「地味」の意味を知るに至った(★★★★★)

『L.A.コールドケース』(ブラッド・ファーマン監督、2018年、原題『CITY OF LIES』) ジョニー・デップは存在自体が派手で、どこにいても、どんな役をやっても目立つ。4年前に完成した映画だが、公開は今年となっている。動きも、展開も地味であり、解決の…

『キャメラを止めるな!』──勘違い!(★)

『キャメラを止めるな!』(ミシェル・アザナヴィシウス監督、2022年、原題COUPEZ !/FINAL CUT) メイク先のもとになった映画は、確かに「予想に反して」大ヒットしたが、それは、観客が、素人映画だとたかをくくって見始めて、だんだん凄い展開になっていっ…

『マーベラス』──マイケル・キートンを"恋人役"に持ってきたところがこの映画の新しさ(★★★★★)

『マーベラス』(マーティン・キャンベル監督、2022年、原題『The Protege』) 「恋人」たって、かなりひねくってある恋人だが(笑)。 原題は、『The Protege』(邦題は「マーベラス」(marvelous)で「すばらしい」という意味だが、むしろ内容から遠くなっ…

『ベイビー・ブローカー』──自己模倣の下降スパイラル(★)

『ベイビー・ブローカー』(是枝裕和監督、2022年) どんな世界でも一度話題になり名前が出てしまうと、その後、その人のキャリアの終わりまで、誰かは見て、なにか言ってくれ、なんらかの賞までもらえる。しかし、真の観客は失望し続ける。それを体現してい…

『英雄の証明』──差異を描き出すのも映画の手柄(★★★★★)

『英雄の証明』(アスガー・ファルディ監督、2021年、原題『GHAHREMAN/A HERO』 イランは映画大国で、キアロスタミをはじめ、作風は洗練されている。生活は欧米化されていて、社会もわりあい開かれている。しかし、細部で、やはり民主主義先進国の生活、社会…

『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』───政府筋も非政府系ボディガードにおまかせ!の時代(笑)(★★★★★)

『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』(パトリック・ヒューズ監督、2020年、原題『HITMAN'S WIFE'S BODYGUARD』 前作の『ヒットマンズ・ボディガード』は観ていない。が、根本の思想といっては大げさだが、アイディアは同じものだろう。つまり、凄腕の…

『ガンパウダー・ミルクシェイク』──この映画に比べれば、ウェス・アンダーソンもダサい!(笑)(★★★★★)

『ガンパウダー・ミルクシェイク』(ナヴォット・パプシャド監督、2021年、原題『GUNPOWDER MILKSHAKE』) 「タランティーノ絶賛!」で、とるものもとりあえず観に行ったが、ひゃ〜面白さ満載!女の、女たちのハードボイルドだが、先のハリウッド作の、「3…

『ナイル殺人事件』──なんら新しいものなし+二流以下俳優たち(★)

『ナイル殺人事件』(ケネス・ブラナー監督、2022年、原題『DEATH ON THE NILE』 前作の『オリエント急行殺人事件』は、まだ見られたが、今回「調子に乗って」(?)作ったのか、まったく面白味なし、新鮮味なし、おまけに魅力的な俳優ゼロ。あのアーミー・…

『ウエスト・サイド・ストーリー』──「こいつ映画がわかってやがる」(★★★★★)

『ウエスト・サイド・ストーリー』(スティーブン・スピルバーグ監督、2022年、原題『WEST SIDE STORY』) 「こいつ映画がわかってやがる」。NYで初めて、不本意ながら、スピルバーグのデビュー作『激突』を見させられた、淀川長治の台詞である。スピルバー…

『ドライブ・マイ・カー』──どこが面白いのかわからない(★)

『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督、2021年、英語題名『DRIVE MY CAR』) (昨年観て、Yahoo!映画にレビューを投稿したところ、削除されていた。理由を推測すると、村上春樹が作中よく使う事柄で本作でも使われていた(くせに)、「フェラチオ」という…

『355』──男がイマイチ(★★★★)

『355』(サイモン・キンバーグ監督、2022年、原題『THE 355』) アクションとしては悪くないが、「女スパイ」(「なりゆきスパイ」のコロンビア人のセラピスト、ペネロペ・クルスも含めて)たちが全員、政府筋のスパイであるところが、やや時代からズレ…

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』──映画はなんでもできる!(★★★★★)

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(ウェス・アンダーソン監督、 2021年、原題『THE FRENCH DISPATCH/THE FRENCH DISPATCH OF THE LIBERTY, KANSAS EVENING SUN 』) 世界でいちばん新しい映画といえば、本作であろ…

『スティルウォーター』──後味が悪い(★★★)

『スティルウォーター』(トム・マッカーシー監督、2021年、原題『STILLWATER』) マット・デイモンは見ていて安心する演技をする役者なので、映画を選ぶ際の基準になる。本作もそういう期待で見たが、デイモンの演技は手堅いものであったが、脚本、演出が冗…

『クライ・マッチョ』──まぎれもない現役感!(★★★★★)

『クライ・マッチョ』(クリント・イーストウッド監督、2021年、原題『CRY MACHO 』) 本来老人は生きてきただけの知恵があり、それに自信を持つべきだと、小林秀雄は言っている。いまは、若者を持ち上げ、老人は「ジジイ」と蔑まれ、失われた体力と知力で、…

『キングスマン:ファースト・エージェント』──税金使ったスパイの時代はオシマイ(笑)(★★★★★)

『キングスマン:ファースト・エージェント』(マシュー・ヴォーン監督、2020年、原題『THE KING'S MAN 』) 公費を使いまくって、テキトーにかっこつけてる、「殺しのライセンス」を持つスパイの時代は、完全に終わって(なにしろ本人死んでるし、子ど…

『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』──ハンパな公害モノではない(★★★★★)

『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』(トッド・ヘインズ監督、 2019年、原題『DARK WATERS 』) 本作は、単純な公害告発映画ではない。公害被害者の写真を撮って、世界に発表、訴訟、政府による断罪、で、終わりではない。企業が垂れ流す毒にもいろ…

『ワン・プラス・ワン 』──革命的な、あまりに革命的な!(★★★★★)

『ワン・プラス・ワン』(ジャン=リュック・ゴダール監督、 1968年、原題『ONE PLUS ONE/SYMPATHY FOR THE DEVIL 』 「Yahoo!映画の解説/ストーンズの録音風景に、革命をテーマにした記録フィルムをかぶせたドキュメンタリー。」 ↑まったく違う(笑)。ドキ…

『ドント・ルック・アップ』──地球滅亡は彗星衝突ではなくネット社会のせい?(★★★★★)

『ドント・ルック・アップ』(アダム・マッケイ監督、 2021年、原題『DON'T LOOK UP』) 確かに「物語」には新しさはないかもしれない。「地球最後の日」という物語である。しかし、この「プラネット」には、ネットがあり、IT企業があり、拝金主義があり、で…

『カオス・ウォーキング』──『未知との遭遇』へのオマージュ(★★★★★)

『カオス・ウォーキング』(ダグ・リーマン監督、2021年、原題『CHAOS WALKING』 まず、『未知との遭遇』を観てないと、この映画の最高に美しい場面を見逃すし、見ても意味がわからない(笑)。ハンパな「映画通」のジジイには、理解できねーだろーなー(爆…

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』──川端康成なら400字詰め50枚でしあげる(★★)

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(ジェーン・カンピオン監督、 2021年、原題『THE POWER OF THE DOG』 実際、この映画は、本来短編の味わいの作品である。章立てされているので、多少なりともすっきり見えるが。ミスディレクションの趣もあり、「完全犯罪」な…

『モスル~あるSWAT部隊の戦い~』──ゲームチェンジ (★★★★★)

『モスル~あるSWAT部隊の戦い~』(マシュー・マイケル・カーナハン監督、2019年、原題『MOSUL』) 本作は、リドリー・スコットが20年前に撮った、『ブラックフォーク・ダウン』(2001年)を思わせる。ほとんどがれきの戦場だけが舞台であり、出てくるのは…

『フォーリング 50年間の想い出』──ヴィゴ・モーテンセンショーだが……(★★)

『フォーリング 50年間の思い出』(ヴィゴ・モーテンセン監督、 2020年、原題『 FALLING 』 ヴィゴ・モーテンセンショーである。自分と実の父との関係とも重なっているとか。60過ぎているモーテンセンは相変わらす美しく、今はやりの、LGBTQや「多様性…

『モーリタニアン 黒塗りの記録』──老いた女のリリシズム(★★★★)

『モーリタニアン 黒塗りの記録』(ケヴィン・マクドナルド監督、2021年、原題『THE MAURITANIAN』 今年は9.11二十周年にあたり、それなりの行事はあったが、すでに世界は、「ちがうもの」になっていた。いまだに、「真相」を追いかけているのは、FBI(連邦…

【昔のレビューをもう一度】『砂の惑星』──変態向き「おこもり」SF(★★★★★)

(レビュー 2020年5月1日4時53) 『砂の惑星』(1984年、デヴィッド・リンチ監督、原題『DUNE』) AmazonPrimeレンタル(199円)で見ました。コロナ時代となって、なんかもういっぺん見てみようかな、という作品を見ています。36年前の作品。今から見ても超…

『DUNE/デューン 砂の惑星』──中身空っぽの無駄遣い(★)

『DUNE/デューン 砂の惑星』(ドゥニ・ヴィルヌーブ監督、2020年 原題『DUNE』) 1984年のリンチの『砂の惑星』も見ているが、なんとなく気になって、去年の5月にも、同作品をAmazonレンタルで見ていた。これは、かなり趣味的な、リンチのテーマ「変態」(笑…

『クーリエ:最高機密の運び屋 』──カンバーバッチも墜ちたものだ(★)

『クーリエ:最高機密の運び屋』(ドミニク・クック監督、2020年、原題『THE COURIER 』 カンバーバッチを初めてスクリーンで見たのは、スパイものの『裏切りのサーカス』だった。そのときは、金髪で、ずいぶん珍しい顔だと思った。あれから、注目され、ブレ…

『ドライブ・マイ・カー』──映画を一から勉強しなおしてください(★)

『ドライブ・マイ・カー』( 濱口竜介監督、2021年、原題『DRIVE MY CAR 』 映画の命は、 1,俳優 2.ショット 3,映画でしか語れないものを見せる 本作は初っぱなから緩んでいて、こりゃ★一個だとすぐに思った。そして、村上春樹の長編小説を何作か読んでい…

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』──できが悪くてもよくてもボンド映画はお祭り(★★★★)

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(キャリー・ジョージ・フクナガ監督、2020年、原題『NO TIME TO DIE 』) 「007」は、たとえ紋切り型と言われようと、スタイリッシュで、ユーモアがあり、いつも最新鋭のテクノロジーと世界状況を用意している。これな…