現象の奥へ

Entries from 2021-06-01 to 1 month

『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』──パンデミック時代の美しいアレゴリー(★★★★★)

『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(ジョン・クラシンスキー監督、2020年、原題『A QUIET PLACE PART II 』) 前作を見ていたので、もういいかなと思っていたが、キリアン・マーフィーが出演すると知って、がぜん食指が動いた。信頼できる役者が出て…

【詩】「舟の上に生涯をうかべ」

「舟の上に生涯をうかべ」 私の詩作は中学時代か 野ゆき山ゆき海辺ゆき と、親に買ってもらった詩の本を 暗唱することから始まった。 或る詩誌に投稿し始め、 石原吉郎という詩人に評価をもらったが その人がどんな人なのか知らなかった。 それは十代の終わ…

【詩】「『わたし』」

「『わたし』」 漱石の描いた倫敦塔の拷問道具の凄さを見ようと、 倫敦塔にチューブ(ちいちゃいメトロ)でたどり着いたが すでに閉館していた。まだ開いている土産物店を覗くと、あった、 ギロチンのキーホルダー あまりの趣味の悪さに買わなかった。 なに…

「東芝問題という問題もある>安倍の自民党」

【昔のレビューを思い出せ!(笑)】「東芝問題という問題もある>安倍の自民党」 東芝の取締役会議長に、暫定的とはいえ、社長のなんたら氏が就任した。というニュースが流れたが、大多数のひとが「いみわからん」(笑)ということだと思う。 東芝というカ…

言論の自由が危ない

【言論の自由が危ない】 中国に批判的な論調で知られる香港の新聞「リンゴ日報」が、香港国家安全維持法に違反したとして警察に資金が凍結され、幹部が逮捕され、発行停止に追い込まれた。今後も、言論関係での抑圧が進むと思われる。1997年にイギリスから返…

改竄×改竄=赤木ファイル(笑)

赤木ファイルが証拠採用されることになった。麻生など「そういう事実はない」とまで言い切ったが、 今回の黒塗り部分に関して、 「プライバシーを考慮した結果だ」とインタビューで答えていた(爆)。 「改竄指示のファイルも改竄」と、立憲民主党の連坊氏は…

「オリンピックまで」も、お楽しみ(笑)

オリンピック会場で生ビール独占スポンサーはアサヒだそうですけど、さすがのニカイも「酒はヤバい」と言いだし、「なし」になった。小池さんは入院。まだまだどんでん返しがありそうで、楽しみだ(笑)。

【詩】「演出」

「演出」 高校で演劇部に入ってしまい、ベケットに出会ってから演出家になりたいと思うようになり、 大学でも演出を専攻した。以来、五十年近く演出について考えてきた。 ゆえに、なにを見るにも、演出という観点から見てしまう。 すると、多くのひとが絶賛…

『ファーザー 』──ただのボケ問題を美化しているだけ(笑)(★)

『ファーザー』(フロリアン・ゼレール監督、2020年、原題『THE FATHER 』) この映画が作られたのは、2019年、おそらくパンデミック騒ぎになる寸前と思われる。すでにして旧世界である。今でこそ、認知症などという病名が大手を振って歩いているが、昔から…

【短編を読む】「横光利一『微笑』(四百字詰76枚程度)──死がまだ美しかった時代

【短編を読む】「横光利一『微笑』(四百字詰76枚程度)──死がまだ美しかった時代 昭和23年1月に「人間」に発表されたが、横光は22年に死んでいる。終戦寸前の、秘密兵器開発に携わるある青年との出会いを描いているが、その青年は天才で、軍に特別の扱いを…

【詩】「Jane Birkin/Serge Gainsbourg "Je t'aime moi non plus"( 1969.5.4)を聴きながら」

「Jane Birkin/Serge Gainsbourg "Je t'aime moi non plus"( 1969.5.4)を聴きながら」 Oooo...eh.... Je t'aime je t'aime je t'aime... moi non plus O mon amour entre mes reins イギリス女バーキンほどフレンチガールを体現している女はいない。 早く、…

『Mr.ノーバディ』──コロナ以後は介護老人にもご用心!(笑)(★★★★★)

『Mr. ノーバディ』 (イリヤ・ナイシュラー監督、 2021年、原題『NOBODY 』) 「さえない地味な中年男がキレて……」と映画サイトの説明にあるが、それはちょっと違う。そういう方が今の人々の関心を誘いやすいのだろうか? 本編は、初めから、タイトル通りの…

Amazonレビュー7回目削除要請記念(笑)>『現代詩手帖2021年5月号』(思潮社)

まだ切り札は出してません(笑)。 はっきりいって、このカイシャは、著作権意識がありません。 「商業誌」を銘打ちながら、著者の許可を得ずに、その著者が無名であることを いいことに、勝手に載せたり、「載るだけでうれしがるレベルの著者には まったく…

【詩】「Une vieille orange(しなびたオレンジ)」

「Une vieille orange(しなびたオレンジ)」 Ainsi qu'un débauché pauvre qui baise et mange Le sein martyrisé d'une antique catin, Nous volons au passage un plaisir clandestin Que nous pressons bien fort comme une vieille orange.* (惨めな放…

【詩】「アバンセラージュ族最後の人の奇談」

「アバンセラージュ族最後の人の奇談」 かさねとは八重撫子の名成(ななる)べし 曾良 随伴していく者の日記は律儀にて 主人は空想で創作 明日はマドリッドへ戻るというとき サンチャゴ経由で行きたいと思っていたが、 肝心のドライバーのホアンホが、そこは…

【詩】「反復」

「反復」 奥羽長途の行脚只かりそめに思ひたちて、 はて先人にこころを重ねることはできるか? 同じ景色を見同じ言葉を書き付けても こころは重ならず 滝の裏にまわりて 上梓までに五年をかける 日本海岸に先人のうたなく ゆえに病を決め込む 曾良は河合氏(…

【詩】「編集者」

「編集者」 剃捨て黒髪山に衣更 曾良 出版社ガリマールの創始者ガリマールは 生涯一度も自らの本を出さず 俳句についての蘊蓄第一人者山本健吉 は生涯ただの一句も発表せず 彼らの先駆はまづ はせをであらう。 「おくのほそ道」という紀行文集には 随伴者、…

『アメリカン・ユートピア』──Show must go on with corona !(★★★★★)

『アメリカン・ユートピア』(スパイク・リー監督、2020年、原題『DAVID BYRNE'S AMERICAN UTOPIA』) 遅ればせながら(というのも、卒論が「オフ・オフ・ブロードウェイ」だったにもかかわらず(笑))、15年ほど前に初めてニューヨークに行って、初めてブ…