現象の奥へ

Entries from 2020-01-01 to 1 year

2020映画ベスト10

【2020映画ベスト10】 2020年は劇場で46本観たが、春頃は、コロナ自粛の真っ盛りで、家で珍しくDVDを結構観た。しかし、その後、徐々に、コロナ感染は減らないが、状況に慣れて映画館にも人が集まり対策にも慣れてきた。そんな社会状態ではあるが、映画は…

商業詩誌なう

もう長い間、同じパターンが続いている。12月号にアンケートと膨大な(笑)詩人の住所録、1月号は、このカイシャが代表的だと認める詩人の作品群で、ここに「入選」した人々が、あくまでこのカイシャの「一流」ということになる。メンバーのなかには、ブラン…

【本】谷沢永一著『反日的日本人の思想―国民を誤導した12人への告発状 』──イデオロギーと思想を混同(★)

『反日的日本人の思想―国民を誤導した12人への告発状 』(谷沢永一著、PHP文庫、1999年10月1日刊) かなり古い本であるが、Amazonをウロチョロしていて、本書のレビュアーが「つい最近」、絶賛していたので、興味を持った。そういや、「ヤザワだあ」によく似…

【旅の思い出】「クリスマスシーズンのロンドン」

【旅の思い出】「クリスマスシーズンのロンドン」ウェストエンドの「ノエル・カワード劇場」で、シェークスピアの『夏の夜の夢』を観た。

『また、あなたとブッククラブで』──やっぱりダイアン・キートンあっての映画(★★★★★)

『また、あなたとブッククラブで』(ビル・ホールダーマン監督、2018年、原題『BOOK CLUB』)(2020/12/18@キノシネマ天神(福岡)) ダイアン・キートン(撮影当時の2018年、72歳)、ジェーン・フォンダ(81歳)、キャンディス・バーゲン(72歳)、メアリー…

山下晴代第11詩集『張込み』

山下晴代第11詩集『張込み』発売。ほんとうの詩作は、ここから始まる。 ★★★ クリスマスイヴの凍える街で足踏みしながらカップコーヒーを啜って仕事中の、その雄々しい惨めさ、あるいは、惨めなプライドをどこへと繋ぐかサンタクロースの格好をして足踏みし…

【詩】「お茶と同情」

「お茶と同情」 大学生の時、映画のアンケート用紙に感想を書いて冊子に載ったことがある。その際の職業として、詩の雑誌に投稿して、ある程度活躍していたので、「詩人」と書いた。それから何年もしないうちに詩を書くことをやめ、何十年も経って、ネット時…

『新解釈・三國志 』──「中国」と呼べるのは1912年の「中華民国」から(★★★★★)

『新解釈・三國志 』(福田雄一監督、2020年) (2020/12/11@東宝ソラリア館(福岡)) 中国の歴史といっても、誰も知らない。というのは、1800年前は、実は、「中国」という名前さえなかった。いまでいう中国大陸に、さまざまな民族が興亡し、戦っていただ…

『魔女がいっぱい 』──ゼメキスの味わい方(★★★★★)

『魔女がいっぱい』(ロバート・ゼメキス監督、2020年、原題『THE WITCHES』) (2020/12/7@ユナイテッドシネマ、キャナルシティ13(博多)) USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)で、デロリアン号に乗ってしまった身としては、ゼメキスと聞けば、と…

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』──ヒットは日本人のアタマの劣化の証明(★)

(2020/12/2@天神東宝、ソラリアプラザ(福岡)) 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(外崎春雄監督、2020年) 「無限列車」とあったので、すぐに、『パラサイト』のポン・ジュノ監督の傑作、『スノウピアサー』(2013年)を思い浮かべた。しかし、本作は、…

【詩】「河上徹太郎が編む『萩原朔太郎詩集』」

「河上徹太郎が編む『萩原朔太郎詩集』」 おそらく 日本の現存詩人の多くは 萩原朔太郎という詩人は当然知っていても、 氏がどういう詩人だかはほとんど 知らない。 氏のまねをしているアナクロな詩人をたまに見かけるが それは、 氏の若いときの 誰もが感じ…

【詩】「Marguerite Yourcenar 『Mishima ou La vision du vide』(マルグリット・ユルスナール『ミシマあるいは空虚のヴィジョン』)」

「Marguerite Yourcenar 『Mishima ou La vision du vide』(マルグリット・ユルスナール『ミシマあるいは空虚のヴィジョン』)」 長い長い長い馬の小便のような長い長い長い夢を見ているジジイの夢はほんとうに漠然とジジイが感じているようにフロイト的文…

最果タヒ『夜景座生まれ』──文脈不在の文章=詩(笑)(★)

最果タヒ『夜景座生まれ』(2020.11.25、新潮社刊) 以前の詩集『恋人たちはせーので光る』で、(生年月日や学歴は出しても(笑))顔出ししない著者について、男性である可能性について示唆しておいたが、最新刊の本詩集では、一人称の多くが「ぼく」と使わ…

今年のヌーボー

今年のジョルジュ・デュ・ブッフ、マコン・ヴィラージュ・ヌーボー(シャルドネ)は正直うまい。

【詩】「ドイルを待ちながら」

「ドイルを待ちながら」 When I look at it my chagrin at the loss of the letters becomes almost intolerable.(Henry James "The Aspern Papers") それ(「私」の机の前の壁に掛かっていた絵。すでに売ってしまった)を見ると、手紙(詩人アスパンの恋…

【詩】「追跡」

「追跡」 追いつけばそれで終わりと 思ってもドイルは 追わずにはいられない なぜ? と自問しながら ガムの包みを素早くといて 口に突っ込む 中折れ帽子 アロハシャツ そして 足首には 足首用ホルダーに 入れた拳銃 飛行機に乗るとき スーツケースの「枠」に…

『フレンチ・コネクション2 』──ハードボイルド・アクション映画のお手本(★★★★★)

『フレンチ・コネクション2』(ジョン・フランケンハイマー監督、1975年、原題『FRENCH CONNECTION II』) 『フレンチ・コネクション1』(1971年)は、ウィリアム・フリードキン監督で、ハックマンの主演男優賞をはじめ、監督、作品、編集などでアカデミー賞…

『スタートアップ! 』──ドンソクにはハマた〜(★★★★★)

『スタートアップ!』(チェ・ジョンヨル監督、2019年、原題『START-UP』) (2020/11/21@KBCシネマ福岡) 今日(土曜日)も、ほぼ満席に近い感じ。やはり、マ・ドンソク目当てなのだろうか。それほど若い人々でもなかったから。この俳優、『悪人伝』で初め…

【詩】「アンダルシア」

「アンダルシア」 この海この砂この舟この感触この風 これは何なのか? 船底をじっと見ていた 松並木が続き 時間が海藻のようにまとわりついた あれはいったい何なのか? わが父よ。 どこかの馬鹿が錆びたジジチャリで ピレネーを越えることを想像していた。…

【詩】「世界の起源」

「世界の起源」 ベケットは、ルネ・シャールの「クールベ:岩石粉砕機」という詩を英訳している。ベケットの英語の方が難しい。Sand straw live softly softly take the wine砂のストローは静かに静かにワインを吸い上げるSable paille ont la vie douce le …

『フェリーニのアマルコルド』──思想を洗練されたスタイルで描く(★★★★★)

2020/11/14@KBCシネマ(福岡) 『フェリーニのアマルコルド』(フェデリコ・フェリーニ、 1974年、原題『AMARCORD』) フェリーニの自伝的作品とよく言われているのに反して、フェリーニ自身は、本編は、彼の作品の中では「最も自伝的要素が少ない作品」であ…

【詩】「単純なソネット」

「単純なソネット」 ナチから逃れるため私は顔を変えた。 あなたは私だと気づかなかった。 それでもとても親切にしてくれた。 親戚が教えてくれた、夫が私の不明をいいことに、 私の財産を自分のものにしようとしていると。 親族が集まる会合があり、 みんな…

【詩】「恋」

「恋」 Dem Geier gleich, Der auf scweren Morgenwolken Mit sanftem Fittich ruhend Nach Beute schaut, Schwebe mein Lied! 餌を漁る偉大な猛禽のように やさしい翼を休め 重苦しい朝の雲、 獲物はいないかと見回す: そのように私の歌よ高く飛べ! 人妻…

【詩】「惨敗日記」

「惨敗日記」 気取ってマラルメ、などと書くこともできた。マラルメが書いている「エドワール・マネ」と題された散文詩を、英訳しているベケットについても、また、マネをテーマとしたフーコーの文章についても、また、オルセー美術館で見たマネの絵そのもの…

【詩】「色つきのオトコでいてくれよ」

「色つきのオトコでいてくれよ」 ネットには昔の美男子も 転がっていると思うし、写真だけでは実際はわからない。 それでも、「友だち申請はお会いしたことのある人だけにしてください」ってなー、んじゃー、ネットの意味がないだろ。 そんなの大昔からのた…

Congratulations on Mr.Biden's victory!

Congratulations on mr.Biden's victory from Japan !I hope Japan will also good!

『罪の声』──テーマも明確な端正なミステリー(★★★★★)

『罪の声』(土井裕泰監督、2020年)(2020/11/5@ユナイテッドシネマ、キャナルシティ13(博多)) グリコ社長誘拐事件に端を発する一連の事件(映画では、企業名は変えられている)は、「表面的には」おおぜいの犠牲者を出したわけではなかったが、姿の見…

【詩】「むかしむかし野坂昭如という作家がいた」

「むかしむかし野坂昭如という作家がいた」どんなウイルスでも必ず終わりは来るどんなRNAでも必ず終わりは来るしつこいやつもあくどいやつもいつかは消えるどんな政治家にも必ず終わりは来るどんな反逆者にも必ず終わりは来る陳腐なやつも軽薄なやつもい…

『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書)──文章が下手で世界史的視点を欠く(★★)

『満州事変から日中戦争へ―シリーズ日本近現代史〈5〉』(加藤陽子著、岩波新書、2007年) たとえば、第二次世界大戦より悲惨だとされる第一次世界大戦の始まりは、オーストリア皇太子の暗殺であるが、それまでの「経緯」は、フランスとドイツの経済戦である…

【今日のひとこと】(2020.11.03)

「知っていることは、それほど重要なことではない」(益川敏英、物理学者(専門は素粒子論)、2008年、ノーベル物理学賞受賞) (『つぶやきカフェ』(三省堂、2010年9月20日刊) ***** (写真は、ウフィッツィ美術館@フィレンツェの屋上)