現象の奥へ

Entries from 2019-01-01 to 1 year

【昔のレビューをもう一度】『ブレードランナー 2049』──陳腐。(★★)

【昔のレビューをもう一度】『ブレードランナー 2049』──陳腐。(★★) ●『プリズナーズ』『複製された男』『ボーダーライン』『メッセージ』と多くを観て惹かれてきた、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督である。二回観て、評価を逆転させたが、冒頭を見逃した第一回…

【昔のレビューをもう一度】『聖杯たちの騎士 』──「ばれ」るようなネタなし(笑)(★)

● 本レビューで貶した俳優さんたちは、さすが一流、「その後」、りっぱに蘇ってます。それでこそプロ。とくに、クリスチャン・ベールは、「スター」ではなく、「俳優」であることを主張。『フェラーリ V.S.フォード』が楽しみである。 『聖杯たちの騎士 』(…

【詩】「荒木一郎に捧げるほろ苦いブルース」

「荒木一郎に捧げるほろ苦いブルース」 人気の出た歌手が事務所から独立して稼ぎを全額自分のものにしようと目論んだ時、この、文学座の古参女優荒木道子の息子の元歌手で、音楽プロデューサーは、コメントしたものだ、「ふん、てめえひとりの力で売れたと思…

ワタシ的「2019映画ベスト10」

映画館で観たのは42本程度。 1,ブラック・クランズマン2,家族を想うとき3,イエスタデイ4,ギルティ5,ベン・イズ・バック6, イソップの思うつぼ7,ロケットマン8,アド・アストラ9,ファーストマン10, バイス次 シンク・オア・スイム

蓮實 重彦 (著)『表象の奈落―フィクションと思考の動体視力 』──母国語の基礎がなければ何を書いても深い表現はできない。(★★)

『表象の奈落―フィクションと思考の動体視力 』(蓮實 重彦著、 2006年11月、新装版2018年5月、青土社刊) まず初めに、10年前以上の(Amazonの)レビュアーがお二方いらっしゃるだけの本書(つまりは「売れてない」(笑))、拙宅のそこらへんに転がってい…

拙詩集『死にゆく者への祈り』は当然ここからとった

ミッキー・ロークが最高に美しかった頃。ジャック・ヒギンズ原作。 映画『死にゆく者への祈り』↓ https://movies.yahoo.co.jp/movie/10082/

山下晴代詩集『死にゆく者への祈り』

山下晴代第八詩集のご案内。年末年始は、コレを読みながら、泣くもよし、笑うもよし。1500円で癒やされよう!こちらでご注文できますが、当方メッセージ等でもご注文できます。メールでも→rukibo@mars.dti.ne.jpあ、題名を忘れた(笑)。 『死にゆく者への祈…

 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 』──スカイウォーカーの宇宙(★★★★★)

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 』(J・J・エイブラムス監督、2019年、原題『STAR WARS: THE RISE OF SKYWALKER』) 貴種流離譚の鉄則を踏んで、みなしごのレイは、姫であった──。出エジプト記宇宙編とでも言おうか。しかし、主役は女。フィ…

伊藤詩織さん事件に思う。

伊藤詩織さん事件で、相手の元TBS貴社山口敬之氏の「味方」をするジャーナリストそのほかの人々がいるのだが、こういう人々の意識にあるのは、「じゃあなぜ、食事までして酒なんか飲んだだよ〜」っていうのだと思う。それは、将来的に山口氏が、伊藤さん…

『家族を想うとき』──明日は我が身(★★★★★)

『家族を想うとき』(ケン・ローチ監督、2019年、原題『 SORRY WE MISSED YOU』) 批評氏は、「プワー・ワーキングクラス」などと、他人事のように書いておられたが、はたしてそういう「クラス」を描いた映画なのか? ある夫婦がおり、二人の子供がおり…

【昔のレビューをもう一度】『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(★★★★★)

『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(ノア・バムバック監督、 2014年、原題『WHILE WE'RE YOUNG』)──四十にして惑う(笑)。2016年8月21日 6時08分 ●『マリッジ・ストーリー』のノア・バムバック監督の5年前の作品。同じニューヨークを舞台に、カップルの…

【詩】「実存と夢」

「実存と夢」 勅撰集は置いて 雨も風もない外宇宙にて 丸谷はひとり息子を待つ メモリは足りず 重力波は狂い 苦い過程の産業革命 歴史という薄っぺらな旗が 冥王星の向こうに立っているという 四書五経といえど 相対性に届かぬ空しさ 饐えた衣装を着て待つは…

【昔のレビューをもう一度】『リリーのすべて』──最も新しく知的な役者レドメイン(★5)

『リリーのすべて』(トム・フーパー監督、2015年、原題『THE DANISH GIRL』 2016年3月20日 22時01分 ベルクソンによれば、人の心と肉体(脳髄も含む)は平行していない。おそらく、性別なるものも、合理的な思想が考え出したものだろう。仮に男性と名づ…

『マリッジ・ストーリー』──結婚という制度と愛は別物を露呈(★★★★★)

『マリッジ・ストーリー』(ノア・バームバック監督、 2019年、原題『MARRIAGE STORY』 ある夫婦の「離婚に至るまでの物語」ではなく、「離婚を決めた夫婦」の、離婚までの「物語」。ありふれた「夫婦決裂」のハナシではない。「結婚」という社会制度が、い…

【昔のレビューをもう一度】『ベロニカとの記憶 』──インドの監督が撮る、イギリスの光と陰(★★★★★)

『ベロニカとの記憶 』(リテーシュ・バトラ監督、2017年、原題『THE SENSE OF AN ENDING』 2018年2月8日 11時36分 学生時代に対して、とくにノスタルジックな思い出を抱いているわけではない、老いた男に、ある日突然、法的な手紙が来て、昔同窓生だった女…

【昔のレビューをもう一度】『ダークナイト 』──ヒーロー(英雄)からナイト(騎士)へ(★★★★★)

●ここから、あの「ジョーカー」が生まれても、まったく不自然ではない。 『ダークナイト 』(クリストファー・ノーラン監督、2008年、原題『THE DARK KNIGHT』) 2008年8月24日 17時36分 最初、題名『ダークナイト』の「ナイト」は、夜のことだと思っていた…

 【昔のレビューをもう一度】『イタリアは呼んでいる 』──記号満載「ミニミニ大作戦」(笑)(★★★)

●懲りもせず、続編『スペインは呼んでいる』が出ているそうである。こちらとしては、スペインはお先に呼ばれてしまって、満喫してしまったので、「後追い」はしない(笑)。 『イタリアは呼んでいる』( マイケル・ウィンターボトム監督、2014年、原題『THE …

【詩】「Metaphor」

「Metaphor」 denotationconnotationcognitive linguisticstarget domainsource domainをりかく神無月しぐれの雨をたてぬきにしてわれわれはどんなオレンジ色をよみ人の性別さへしらず

フェルメール「地理学者」部分模写(色鉛筆)

今年のカレンダーを毎日食卓から見ていて、ふと描きたくなった。11月の「地理学者」。 フェルメール「地理学者」部分模写(色鉛筆)

『 ドクター・スリープ 』──スリープしてしまうほど怖くない(笑)。(★)

『ドクター・スリープ』(マイク・フラナガン監督、2019年、原作『DOCTOR SLEEP』 だいたい事情がわかってきた。『シャイニング』の監督キューブリックと、原作者スティーブン・キングは、その思想がまったく相容れない。キングは、子供たちを中心に、心霊的…

【オンライン連載小説】「私のように美しい女、わるいは、いかにして私は火星人を愛するようになったか」2

2 序文(つづき) 「一方、ゴア・ヴィダル(あるいは、トム・ウルフだったっけ? 彼らの反撃者のひとり、 いずれにしろ、お文学以外のすごくエンターテインメントなべつのものを書くやつだよ)、彼が、フィクティブ・ファビュリズム、ポストモダニズム、まあ…

【オンライン連載小説】 「私のように美しい女、あるいは、いかにして私は火星人を愛するようになったか」第1回

【オンライン連載小説】 「私のように美しい女、あるいは、いかにして私は火星人を愛するようになったか」第1回 序文 まあ、ジョン・バースの『レターズ』かな、と思って、二巻に分かれている邦訳の、とりあえず第一巻を探したが、すぐには見当たらず、第二…

【昔のレビューをもう一度】『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 』──バットマンあるいは(無知ゆえの高評価)(★★★★)

● 本作の価値を高めていた知的な俳優、エドワード・ノートンが、20年ぶりでメガホンを取った作品が待たれるお正月。 『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 』(アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督、2014年、原題『BIRDMAN OR (THE UNEXPECTE…

【昔のレビューをもう一度】『魂萌え! 』──秋吉久美子に負けた(笑)!(★★★)

『魂萌え! 』(阪本順治監督、2006年)2007年2月8日 23時16分 なんせ、『顔』の阪本順治監督ですからね、フツーのオバサンのハナシは作らないと思いましたよ。しかし、いかんせん、フツーのオバサンのハナシになってました(笑)。 こういう映画は、たいて…

『北村薫の創作表現講義―あなたを読む、わたしを書く (新潮選書) 』──こんな講義を受ける学生がかわいそう(笑)(★)

『北村薫の創作表現講義―あなたを読む、わたしを書く (新潮選書) 』(北村薫著、 2008/5/1、新潮社) 『公募ガイド』の今月号、すなわち、2019年12月号に、この北村薫氏が登場し、小説の書き方指南をしていて、ついでに本書も宣伝してある。近刊かと思ったら…

【昔のレビューをもう一度】『リトル・ミス・サンシャイン』──「負け組」であることのまっとうさ(★★★★★)

●見どころ→「哲学的理由から口をきかない落ちこぼれ高校生の長男」に、ポール・ダノ、すでにして、堂々たる存在感! 『リトル・ミス・サンシャイン』(ジョナサン・デイトン ヴァレリー・ファリス監督、2006年、原題『LITTLE MISS SUNSHINE』)2007年1月15日…

『小説作法ABC (新潮選書)』──著者も森博嗣『職業としての小説家』を読んだ方がいい(笑)(★)

『小説作法ABC (新潮選書)』(島田雅彦著、2009/3/1、新潮社) このほど、「公募ガイド」で講座を持つことになった、島田雅彦氏の10年前の「指南書」であり、ほぼ、法政大学の講義録のようである。まず、新潮社というのが、おおかたコネで著者を見つけている…

【詩】「いるかの王国、あるいは難問」

「いるかの王国、あるいは難問」 Ad usum Delphini 盲目の王子よいまこのラテン語を指でたどれ過去はいつも土砂降りでそなたの王冠が乾いたためしはなくその地図にデンマークはなくイングランドもノルウェーもないだが王子よそなたの気位こそが宇宙を生成す…

【本】『読書実録』──テクストの喜びゼロ(★)

『読書実録』(保坂和志 著、2019/9/26、河出書房新社 ) たとえば、カフカの日記は、普通ならこぼれてしまうような行間を拾って、どこまでも興味は尽きないが、保坂和志も、カフカに習っているようだが、結果はまったく見当違いとなって失望させられた経験…

【昔のレビューをもう一度】『ブルーに生まれついて』──歴史に残るジャズ映画の傑作(★★★★★)

『ブルーに生まれついて』(ロバート・バドロー監督、2015年、原題『BORN TO BE BLUE』) 2016年12月13日 8時18分 イーサン・ホークがチェット・ベイカーを演じるという情報がFacebookに流れてきた7月から、「おおーッ!」と感じ、すぐにサントラの一部の、…