現象の奥へ

【詩】「ブラッサイ、あるいは、秘部という名の宇宙」

ブラッサイ、あるいは、秘部という名の宇宙」


駅の二階の出口は各通りへと続く歩道橋になっている。
 
そのすぐ出たところは植え込みになっていて、コンクリートの、
 
ちょっとした囲いがあり、それは、ちょっと腰掛けて座るのにちょうどいい。その一角に陣取っているのは、
 
ホームレスの女である。
 
「つんころ」と三河弁か遠州弁か、わからない言葉で、
 
荷物のひとまとまりを指す言葉を、私の両親が使っていたが、
 
そういう「つんころ」を身の回りにおいて、憩っている。
 
ひとりごとを言っていることもある。
 
その前を通るたびにちらりと見て観察する。
 
靴だけはちゃんとしているような黒い皮に見えるスニーカーである。
 
太っている。靴以外の衣服は垢が染みこんでいるように見える。
 
高齢の母は「いつ死んでもいいようにパンツだけは清潔なものをつけている」と言った。
 
それで、私はその女のことを思い出し、
 
駅前のホームレスの女のパンツはどうなっているんだろうね、
 
と言った。
 
ブラッサイの撮った、1920年代のパリは、
 
その女の匂いに包まれているかも知れない。
 
自民党のパーティーよりも淫らなパーティー
 
平気で丸裸の女たちが、タキシードを着た紳士たちと
 
歓談している。
 
うははは……
なんて笑い声が聞こえるようだ。
 
100年後、
 
殺人さえ、誰も手を汚そうとせず行う。
 
セクハラ
 
 
町長。
 
ゴメンナサーイ。
 
威張りたい人がおり、
 
威張らせたい会社がある。
 
それは、
 
詩集を作るカイシャ。
 
お値段は300万円。
 
その宇宙は、
 
どんな匂いだらう。
 
「それをお金で買いますか?