現象の奥へ

ミシェル・フーコー『臨床医学の誕生』

『臨床医学の誕生』(ミシェル・フーコー、神谷美恵子訳、みすず書房、原題『Naissance de la clinique』1963年刊) フーコーのレビュー作、ビンズワンガーの『夢と実存』の、本文より長い序文、と重なるところのある著作である。つまり、医学はどこから科学…

ベルナール=アンリ・レヴィ著『危険な純粋さ』

『危険な純粋さ』(ベルナール=アンリ・レヴィ著、立花英裕訳、1996年刊、紀伊國屋書店、原題『La pureté dangereuse』(1994))──結局、レヴィの予見の通りの世界になった? フランスの「現代思想」花盛りののち、やってきた「新哲学派」。とはいうものの、…

【詩】「ある詩を考えながら、ほかの詩を思い出すこと」

「ある詩を考えながら、ほかの詩を思い出すこと」 Où maintenant? Quand maintenant? Qui maintenant? Sans me le demander. Dire je. Sans le penser. Appeler ça des questions, des hypothèses. Aller de l'avant, appeler ça aller, appeler ça de l'ava…

【詩】「うつらうつらしながら」

「うつらうつらしながら」 La sottise, l'erreur, le péché, la lésine, Occupent nos esprist et travaillent nos corps, 馬鹿、間違い、罪、吝嗇が、 われらの頭を占め、体を動かす と、シャルル・ボードレールは書く。 ここには、なんら観念的な言葉はな…

『新潮2022年6月号』──『現代詩手帖』以下(★)

『新潮2022年6月号(新潮社、2022年5月7日刊) 売れない文芸誌の凋落は激しいが、なかでもこの『新潮』が随一である。書き手は、三十年前とそう変わらず、お家芸?(笑)の、学閥、コネを思わせるメンバー。お土産で言ったら、上げ底も激しい。 四方田犬彦氏…

突然の書道

石川九楊の『縦に書け』を読破して、道具と手本を揃え、ある年の書き初めとして書いたがな〜。手本は、紀貫之なり。なんでも、石川師によれば、日本語は縦に書くようにできているとか。

【詩】「ロシアより愛をこめて」

「ロシアより愛をこめて」 文学とは、まず第一に、自由の香りがしなくてはならない、けれど、 ナボコフは、軽蔑さえ宝物として記憶する、そう、 記憶だけが文学だ、彼にとって。 それから、ベンヤミン。 物語作者を探して、ロシアの地をゆく、そう、あれはロ…

『現代詩手帖2022年5月号』──ほかの詩誌ではできない内容となっている(★★★★)

『現代詩手帖2022年5月号』(思潮社、2022年4月28日刊) 四方田犬彦氏の小詩集に関心があり、購入した。そうそう世間の人は目がいかないが、私は、T.S.エリオット『荒地』のもとになっているテクスト、フレイザーの『金枝篇』と関係があるかな〜?と思った…

【詩】「ちょうどよいテロリスト」

「ちょうどよいテロリスト」 Facebookの魑魅魍魎をゆけば、 第一詩集として、『ちょうどよい猫』という題名の詩集を出した女性詩人あり。 「詩を書いてます。まだ駆け出しで」と。 しかし、それなりの人気を集めていた。 われははたと立ち止まり、「ちょうど…

HP更新のお知らせ。

HP更新。きてね。 www.mars.dti.ne.jp

山下晴代第15詩集『あるいは金枝篇』のご案内

紙でなければ読めない書き下ろし長編詩がある。https://www.seichoku.com/item/DS2003196

『英雄の証明』──差異を描き出すのも映画の手柄(★★★★★)

『英雄の証明』(アスガー・ファルディ監督、2021年、原題『GHAHREMAN/A HERO』 イランは映画大国で、キアロスタミをはじめ、作風は洗練されている。生活は欧米化されていて、社会もわりあい開かれている。しかし、細部で、やはり民主主義先進国の生活、社会…

【詩】「荒川洋治」

「荒川洋治」 「荒川洋治」なんて字を見ても、 もうなにも心は動かない。それがなにか文章の作者だとしても、その文章を読みたいとは思わない。 鎌倉時代の癩病施設に関して書かれた「詩のようなもの」は読んだ。 「詩のようなもの」というのは、本人が「詩…

【ソシュールより始めよ】

【ソシュールより始めよ】 知られているように、フェルディナン・ドゥ・ソシュールには著書がない。死後流通している著書は、彼の生徒のノートから成り、それらのノートは幾人かのもので、なかでもいちばん詳細で厳密なノートが中心となり、他のもので補われ…

【ソシュールより始めよ】

【ソシュールより始めよ】 知られているように、フェルディナン・ドゥ・ソシュールには著書がない。死後流通している著書は、彼の生徒のノートから成り、それらのノートは幾人かのもので、なかでもいちばん詳細で厳密なノートが中心となり、他のもので補われ…

最果タヒ詩集『さっきまでは薔薇だったぼく』──将棋で言えば藤井聡太

最果タヒ詩集『さっきまでは薔薇だったぼく』──将棋で言えば藤井聡太(小学館、2022年4月13日刊) ついに詩集が、小学館から出た! 日本で唯一、メジャーデビューした詩人。有名詩人も、有名な文筆家も、自費出版をしているような詩の出版社なら、「企画モノ…

【詩】「お気に召すまま」

「お気に召すまま」 お気に召すまま、泣かせてね。 ぬあんて歌ってた日々がなつかしい。 ひとりの名前はじゅん、もうひとりはねね。 ボードレールもマラルメも、さいはてたひも 知らない。ごめんねごめんね、ひまわりさん。 いまは戦車で踏み潰されて、 マル…

【なぜ戦争をするのか?】

【なぜ戦争をするのか?】 ひとはなぜ戦争をするのか。べつにフロイトが、心理的にあれこれ考えても意味がない(笑)。心理や人格で片付く問題ではない。 大昔から同じ理由による。物資調達である。トロイア戦争の起こりは、ホメロスが、「イリアス」や「オ…

【アメリカでは大統領より議会の方が権限を持つ】

【アメリカでは大統領より議会の方が権限を持つ】 戦争における有効的な武器とは、「いまでは」、戦闘機ですが、どこの「製品」であるかは、衛星画像を分析すればすぐわかることで、さっきNHKでやっていた、「忘れられた戦場」の、ミヤンマーの村では、ウ…

【模写】パウル・クレー『さえずり機械』

【もしゃもしゃかめよ】 パウル・クレー『さえずり機械』(1922)@ニューヨーク近代美術館

『ユーラシアニズム』

『ユーラシアニズム─ロシア新ナショナリズムの台頭』(チャールズ・クローバー著、越智道雄訳、2016年、NHK出版刊) 座右の書といってもいい書であるが、読んでも読んでもぬかるみにはまっていく。いま、まさに、この本のとおりに、というより、この本の…

『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』───政府筋も非政府系ボディガードにおまかせ!の時代(笑)(★★★★★)

『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』(パトリック・ヒューズ監督、2020年、原題『HITMAN'S WIFE'S BODYGUARD』 前作の『ヒットマンズ・ボディガード』は観ていない。が、根本の思想といっては大げさだが、アイディアは同じものだろう。つまり、凄腕の…

戦争犯罪の証拠

【戦争犯罪の証拠】 NYタイムズ(新聞社ではあるが)は衛星画像を撮って、キーウに転がる遺体が一週間以上放置され、その変化をも記録している。それはNHKが流していた。一方「ねつ造説」を主張するロシアは、スローフィルムを流して、遺体の手などが動い…

【詩】「ジェノサイド」

「ジェノサイド」 私が「ジェノサイド」ということばに深く印象づけられたのは、 ほかでもない、リドリー・スコットの『ブラック・フォーク・ダウン』という映画で、 東ソマリアの「内戦」に「干渉した」アメリカがよこしたデルタフォースの特殊部隊の将軍役…

【詩】「金枝篇」

「金枝篇」 それは文章を読まない、 ゆえに文学の歩みに汚されていない、 民たちの、物語。 まだ自然しかなく、伝説もない、 ギリシア悲劇でさえ近づけぬ森の。 祭司を殺してまた祭司になる、その祭司も殺されるまでは祭司である。 ターナーはそんな世界を描…

妹、小林貴子作品展「風の音」開催中

妹、小林貴子の作品展「風の音」、喫茶フォルムにて開催中。ギャラリー喫茶らしい、広々として、洗練された空間。温かな明かり。 (2022/4/1〜4/15 4/4と火曜定休。 豊橋市松葉町2-20 TEL 0532(53)6443 7:00 a.m 〜 6:00 p.m 最終日4:00 店舗隣、駐車場 30分…

プーチンの思想

プーチンの思想というのは、意外にも、収容所群島の受刑者の紙袋に書かれた走り書きなのだ。したがって、国民国家のやり方は通じない。

けふの引用

【けふの引用】 ≪Suis-je romancier ?≫, se demande Proust à l'automne de 1908, ver la fin d'une année où il s'est mis une nouvelle fois au travail. Depuis toujours, il veut être romancier, mais le désir demeure irréalisable : ce sera le suj…

妹、小林貴子の作品展「風の音」のご案内

妹、小林貴子の作品展「風の音」のご案内。 2022年4月1日から15日まで(火曜定休、4/4休み) 愛知県豊橋市の「喫茶フォルム」(豊橋駅から徒歩4分)にて。 この喫茶店は、店の壁全面が打ちっぱなしのコンクリートで、オーナーはもともと画廊を作…

『現代詩手帖2021年五月号』Amazonレビュー9回削除記念(笑)

『現代詩手帖2021年五月号』Amazonレビュー9回削除記念(笑) また削除要請→削除→投稿しなおし→復活(笑)今回で、9回目の削除である。やればやるほど、以下の「資料」が積み重なっていく。その病的なしつこさに、よほど当レビューの内容を知られては困ると…